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- 2020/09/23 掲載
“税収減”が追い打ちかける自治体の財政危機、非常手段を検討する自治体も
京都府は財政調整基金枯渇で別の基金を取り崩し
「9月補正予算は国の支援でどうにか編成できたが、財政調整基金が枯渇しているだけに、やり繰りが大変だ。コロナ禍の終息がいつになるか見通せず、頭が痛い」。京都府議会9月定例会に補正予算案を上程した京都府財政課の担当者はため息をつく。京都府は長く財政危機が続き、財政調整基金は2019年度末で2,100万円とほとんど底をついた状態。6月補正予算では新型コロナ対策の医療・検査体制確保のために、424億円を計上したが、財源不足から土地取得に充てる現金などを管理する基金から6億円余を取り崩した。
しかし、コロナ禍で新たな対応が必要になった際、国の交付金などでまかないきれなくなれば、負債の返済財源となる減債基金の取り崩しや執行停止になった予算の活用など非常手段を講じなければならないという。
兵庫県も厳しい財政の中、綱渡りの予算編成を続けている。阪神・淡路大震災からの復興に1兆3,000億円もの県債を発行、その返済が今後も10年以上続く中でコロナ禍に見舞われたからだ。
2019年度一般会計決算見通しでは、県税収入が3年ぶりに減少し、借金返済の負担の重さを示す単年度の実質公債費比率が前年度より0.7ポイント悪化した。財政規模に対する借金残高を示す将来負担比率は2019年度で338.8%。全国の都道府県で最悪の水準を脱していない。そこへ新型コロナが追い打ちをかけた。
財政調整基金は33億円しか残っていない。9月補正予算は国の交付金に加え、県債を追加発行して85億円を確保した。兵庫県財政課は「将来に備え、財政調整基金を使い切る事態は避けたかった」と打ち明ける。
東京都は財政調整基金を2019年度末で9,348億円まで積み上げていたが、新型コロナ第1波の休業協力金などでその9割以上に当たる8,521億円を取り崩したため、9月補正予算では都債を発行して1,473億円をまかなう方針だ。
秋田県は81億円あった財政調整基金をすべて5月末までに補正予算に繰り入れた。今後、国の交付金活用で捻出できた分を積み立てる考えだが、小回りが利く新型コロナ対策を実現するには、独自財源が必要になる。今後、国に財源を依存した状態で難しい判断を迫られそうだ。
大阪市は2021年度の財政収支が637億円の赤字
コロナ禍で財政がピンチに陥っているのは、都道府県だけでない。大阪市は2021年度の財政収支が637億円の赤字になるとの見通しを明らかにした。赤字額は2020年度当初予算段階の107億円から約6倍に膨らみ、市が収支不足額の公表を始めた2012年度以降で最大となる。税収は2020年度当初予算に比べ、496億円の減少する見込み。その結果、一般行政に必要な予算で411億円、新型コロナ対策で226億円が不足すると推計されている。リーマンショックの影響を受けた2009年度の市税収入は前年度に比べて472億円減だったが、それを上回る景気後退が財政を直撃している。
大阪市財政局は「国の交付金で補正予算を組めるときもあるが、常にすべての予算の面倒を見てくれるとは限らない。2021年度はこれまで以上に難しい予算編成を強いられそうだ」と頭を痛めている。
【次ページ】取り崩された都道府県の財政調整基金は1兆円以上
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