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- 2022/09/06 掲載
巻き返し図る観光業界、東武鉄道やJTBら本格体制で挑む「観光型MaaS」その実力は?
連載:MaaS時代の明日の都市
東武鉄道MaaS担当者が明かす、参入のきっかけ
2021年10月から栃木県日光市周辺で導入されている「NIKKO MaaS」は、当初から実証実験ではなく本格サービスとして通年展開されている。そのうえ、東武鉄道、JTB、栃木県、JTB コミュニケーションデザイン、オリックス自動車、トヨタレンタリース栃木という多様な組織が関係しており、さまざまある観光型MaaSの中でも本格的な体制だ。今回は、東武鉄道でMaaSを担当する経営企画本部の杉本洋輔氏に、導入の経緯や現在の状況、今後の展望などを聞いた。
杉本氏によると、MaaSへの参入は栃木県の会議がきっかけだったという。日光は、自然保護のために国が指定する国立公園ということで、2017年に電気自動車(EV)を宿泊施設に設置してエコ移動を促す実証実験を行ったものの、利用実績はいまひとつだった。同県では実証実験の結果を踏まえ、2018年に新たに日光EV推進連携会議を発足させ、東武鉄道もそこに参加した。
「現地に設置したEVの稼働率を上げるならば、MaaSを導入して公共交通との連携を図ることで、利用を促進できないかと考えました。実は、社内でもかねてよりMaaSの研究は始めており、構想を練っていました。その成果を実施に移す場としても理想的でした」(杉本氏)
アプリではなくブラウザで。観光型ならではの工夫
栃木県や会議メンバーであったJTBコミュニケーションデザインとともに構想を深め、他の会議メンバーからの了解も得られたことから、2021年10月28日に「NIKKO MaaS」がスタートした。開発にあたってまず心がけたのは、スマートフォン専用とはしたものの、アプリではなくWebサイトにしたこと。観光型MaaSは一度しか使わない人も多く、アプリを入れるのは面倒だと思う人が多いのではないかと考えたそうだ。
たしかに観光型MaaSのパイオニアと言える、東急とJR東日本が中心となって実証実験を重ねている「Izuko」(イズコ)も、フェーズ1では専用アプリを用意したのに対し、フェーズ2以降はWebサイトに転換している。
【次ページ】7割がマイカーの現状、環境配慮の観点からも
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