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- 2015/07/03 掲載
アメリカン・エキスプレスが取り組んだ、ツールとしてのデジタルマーケティング戦略
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顧客エンゲージメントを実現するカギは“頭”と“心”の満足
創業当初に運送業を営んでいたアメリカン・エキスプレスは、その後ヒトやカネを運ぶ旅行業に進出し、トラベラーズチェックを初めて発明し、そこから金融業に転じた。現在は世界中にネットワークを張り巡らし、約130カ国で事業を展開している。同社のカード発行数は1億1220万枚、カード取扱高は1兆ドルにもおよぶ。アメリカン・エキスプレスでは、顧客となるカード会員との絆、すなわち「顧客エンゲージメント」を高めるために、さまざまな取り組みを進めている。宣伝会議主催の「インターネットフォーラム2015」に登壇した同氏は、その心を詳しく解説した。
「顧客エンゲージメントは、顧客満足度とは違うものだ。心を打って、忘れられない感動体験がエンゲージメント。何かのキッカケでエンゲージされ、相手の嫌なところも含めて一緒に好きになるということだ。エモーショナルなところもあり、頭と心のバランスが取れていないと、エンゲージは成立しない。それをどのようにつくり出すのかという点が、デジタルマーケティングの醍醐味ともいえるだろう」(中島氏)
「エンゲージメントが高くなれば、企業に対してポジティブな影響をもたらす。まず消費活動に積極的に貢献してもらえる。また多少価格が高くても、優先的に購入してもらえる。何回も継続して購入するリピーターにもなってくれる。さらに自分だけなく、友人や知人にも商品やサービスを推薦し、SNSなどを通じて情報を発信したり、メールや電話で能動的に感想や意見を企業側に伝える役割も果たしてくれる」(中島氏)
アメリカン・エキスプレスが実施した調査によると、日本人の求めるサービスには「人間味」「高いサービス品質」「ニーズの多様化」「SNSの依存度が高い」という特徴があるそうだ。そのため同社では、顧客が積極的に関与したり、自分の体験を他人に話せる関係性を、双方向でつくり出すことが重要だと考えている。
【次ページ】独自の仕組み「クローズド・ループ」とは何か?
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