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- 2022/08/25 掲載
「中間管理職」入門。「板挟み」だって攻略、ストレスとうまく付き合う思考法
連載:リーダー必携マネジメント術
中間管理職は「キャプテン」ではなく「監督」
中間管理職の役割は、「上司から求められた成果を出すために、部下1人ひとりに目標を設定し、自分のチームを勝たせること」です。スポーツでたとえるなら、中間管理職は監督です。プレーヤーではありません。まずはこの違いに気づくことが大切です。中間管理職がやってしまいがちな間違いは、自分を監督ではなくキャプテンだと捉えてしまうことです。これでは、プレーヤーとして活躍しようとするばかりで、マネジメントに時間を割かず、部下を成長させられません。チームが安定して結果を残し続けることができなくなります。
それなのに、事業会社の中間管理職だと、チームが目標数字に到達しなかったときでも自分が成果を挙げていたら評価されることが多いでしょう。これは、正しい状態ではありません。中間管理職にとっては、自分の成績よりチームの勝利のほうが重要です。チームが勝てなければ意味がないのです。
「中間管理職は頭を使い、プレーヤーは肉体を使う」ことが、あるべき組織の姿です。それに、経験豊富な中間管理職であっても、常にプレーヤーとして好成績を収められるわけではないでしょう。すると、部下から「大したことない人だ」と見くびられ、自分の指示がチームに浸透しなくなる可能性があります。
ただし、「自分が成績を残さなければチームの目標を達成できない」との判断からプレーヤーとして動くことは問題ありません。たとえば、プロ野球にも野村克也さんや古田敦也さん、谷繁元信さんなどが選手兼任監督として活躍し、時には「代打、俺」として勝利をつかむために打席に立ちました。
それでも、彼ら選手兼任監督は、自身が打席でホームランを打とうが凡退しようが関係ありません。チームが勝ったかどうかでしか評価されませんでした。それが中間管理職なのです。
「自分がプレーヤーとして動くべきかどうかの判断」は、中間管理職にとって非常に難しい問題です。目先の利益を優先すると、中間管理職が部下の代わりに仕事をしてしまうことになるでしょう。しかし、これは部下の成長を阻害する原因になりかねません。「どちらを優先したほうがチームは勝ち続けられるか」という視点に立ち、慎重に見極めてください。いずれにせよ、理想は中間管理職がマネジメントに徹することです。
“あるある”なあの悩みはどう解決? 上司に宣言すべきこと
もし、上司が中間管理職の自分を無視して自分の部下に直接指示を出していたり、逆に部下が上司に仕事のアドバイスを求めにいったりしていると、「私の役目は何なのだろう」と感じてしまいますよね。これは、多くの中間管理職に共通する悩みだと思います。まず、上司に対しては「私のマネジメントが機能しなくなるので、仕事に関して部下とコミュニケーションを図るのはやめてもらえますか」と言わねばなりません。ただし、マネジメントの権限だけ欲しいと主張してもそれは認められないでしょうから、上司には「その代わり、自分が責任を持って部下に結果を出させます」とも伝えてください。
部下をマネジメントする権限を獲得する代わりに、成果を約束するわけです。部下にも「あなたの上司は私なのだから、仕事の相談や報告は○○さんではなく私にするように」とはっきり告げましょう。
部下が自分の指示に従わないときは、ルールをつくることがポイントです。ルールがあれば、相手の立場や状況に関係なく、「それは間違っている」と指摘しやすくなります。プロ野球選手であっても、打った後に三塁ベースへ走りだしたら、球場にいるすべての人から「ルール違反だ」と叫ばれても文句は言えないでしょう。ルールを明文化して提示しておき、違反者がいれば審判のように淡々と指摘することを繰り返していけば、だんだんと部下は指示に従うようになってきます。
【次ページ】「板挟み状態」ではどう行動すべきか
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