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新型コロナウイルスによって世界中の経済は大きな打撃を受けているが、物流業界も例外ではない。生鮮食品や医療品等を運んでいる運送会社の一部が、長時間労働をかえりみずサプライチェーンを守り続けている一方、配送先の店舗や工場、工事現場などが休業し、荷物を運ぶ先がなくなってしまった運送会社もいる。倉庫や物流センターの一部では輸入貨物の減少で倉庫から貨物が消えたり、もしくは東京オリンピックの延期により、出庫されるはずだった貨物がそのまま保管され混乱している。だが、この逆境において、売上を拡大し、存在感を発揮している物流企業もいる。今回は、そんな物流ITベンチャー企業を3社紹介しよう。
「物流は止まっていない」、ファクトデータで物流不安を解消する
「物流は止まっていない」
こんなメッセージを発信した物流ベンチャーがいる。
新型コロナウイルスの猛威により、大きな不安を抱えている人も多い。こういった時には、悪質なデマが広まりさらに社会不安が加速する、負の連鎖が広まりかねない。
実際、「中国からの輸入がストップし、トイレットペーパーやティッシュペーパーが手に入らなくなる」というデマから、買い占めが発生したのは記憶に新しい。
そんな情勢を受けて、物流センターの接車バース(荷物積み降ろしなどに使用するスペース)予約システム『MOVO Berth』を運営しているHacobu(代表取締役社長 佐々木 太郎/東京都港区)は、今年2月から3月における、『MOVO Berth』を利用している物流センターの稼働状況を公開した。「物流がストップし、日用品や食料が手に入らなくなるのではないか?」という社会不安に対し、「物流は止まっていない」証拠となるデータを公開することで、買い占め等が不要であることを示したのだ。
2020年3月の受注は過去最高、対面接触を削減
運送業務の効率化を阻む要因のひとつに、トラックの待機時間問題がある。貨物を積み込むために、物流センターに到着したトラックが、積み込みの順番待ちを強いられる問題だ。ひどいケースだと、物流センターで1時間から半日近く待たされるケースもある。
『MOVO Berth』は、オンライン上でバース予約を可能とすることで、物流センター、運送会社双方の業務効率を最適化する。また、タブレット等を用いた受付システムも提供している。『MOVO Berth』は、新型コロナウイルスの影響下にある現在でも、順調に契約数を伸ばしているという。2020年3月の受注数は、過去最高を記録したという。
「もともと、不況には強いビジネスモデルだとは思っていましたが」と語るHacobu 佐々木社長は、『MOVO Berth』好調の理由を以下のように分析する。
- ・受付システムによって対面受付が削減できるなど、『MOVO Berth』そのものが、新型コロナウイルスの対策となること
- ・新型コロナウイルスによって、属人化と暗黙知がはびこっていた現場の課題に危機感を抱く物流企業が増えてきたこと
新型コロナウイルス対策として、Hacobuでは、『MOVO Berth』新規契約者に対して、有料オプションであった受付システムの一部無償提供を開始した。また、運送業務における一連のビジネスプロセスを電子化する、『MOVO Vista』を今夏リリースする予定という。
Faxや電話といった、アナログなやり取りが残る運送業界では、テレワークを行いたくとも、なかなか踏み切れない現実がある。新型コロナウイルスの恐怖におびえながら、嫌々出勤している従業員もいる。
「新型コロナウイルスは、物流業界のデジタル化を後押しする可能性がある」 と佐々木社長は語る。たしかに、Hacobuのソリューションは、緊急事態宣言が発令されてもなお、テレワークに移行することができない物流企業の悩みを解決する可能性がある。
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