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  • 2019/01/09 掲載

物流テックスタートアップ16社まとめ、現場の非効率はテクノロジーが解決する

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物流とITとを融合した「物流テック」が盛り上がりを見せている。配送や在庫管理、貨物保管を中心とする物流業界においては、人手やスペース不足、IT化の遅延などさまざまな課題を抱える同業界。物流テックではRFIDやIoT、AIなどの技術を活用し、物流業務をより効率的なものにしていく。本稿では、注目すべきスタートアップ15社をピックアップし、その設立背景や事業内容などを総覧として紹介する。
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物流業界の課題をさまざまな角度から解決しようとしているプレーヤーたちを紹介する
(©tentacula - Fotolia)

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CBcloud:軽貨物の配送ドライバーと荷主をマッチング

 軽貨物を配送するドライバーと荷主とをつなぐマッチングサービス「PickGo」を運営している企業。創業者(代表取締役CEO)である松本隆一氏は高校時代にプログラミングを独学し、東進衛星予備校の授業配信システムも開発している。その後は国土交通省に入省し、航空管制官として羽田空港に勤務。2013年には義父から運送業を継いで配送ドライバーを経験したが、軽貨物の運送業がアナログで非効率な世界だとその時に痛感。PickGoの前身となる「軽Town」をUberを参考に開発した。

 PickGoはドライバーと軽貨物の荷主を直接つなぎ、仲介業者による中間コストを削減。これにより、ドライバーはより多くの報酬を得られ、さらに最短で即日に手に入れることが可能になる。またドライバーは定期の仕事に加えて、PickGoで単発の仕事を獲得したりと柔軟な働き方も可能となる。荷主にとっては、15分以内にドライバーを発見できるマッチングスピードの速さがメリットとして挙げられる。

 同社は2017年9月、シーアールイー、KLab Venture Partnerなどから3.4億円を調達している。

https://cb-cloud.com/



Gatik AI:自動運転で商品を配送

 自動運転で商品を配送するシステムを開発している企業。創業者のGautam Narang氏はカーネギーメロン大学でロボティクスを専攻したのちに客員研究員としてホンダ(本田技研工業)や早稲田大学を訪問している。そのGautam Narang氏含む3人のカーネギーメロン大学の卒業生によって設立されたのがGatik AIだ。

 Gatik AIでは商品を格納できるロッカーを装備した自動運転車を走行させて、店や消費者に商品を届ける物流システムの構築に取り組んでいる。

 自動運転車にはセンサーやカメラを搭載し、GPSと3Dマップを活用して最適なルートを選択し自律的に商品配送を実行する。Gatik AIの自動運転車は人間を乗せるのではなくモノを運ぶことが目的であり、かつ低速で走行するため使用するセンサーも安価である。グーグルが使用しているような自動運転車とは異なり、Gatik AIの自動運転車はよりコストを抑えているため、Gatik AIの自動運転による物流システム構築は現実味を帯びているといえる。

 ビジネスモデルとしては月額制で、小売店に自動運転車を貸し出すパターンとFedexやUPSなどの運送業者にライセンスを提供するパターンの2種類が想定されている。なおGatik AI はカリフォルニア州から自動運転車の自動運転テストの許可が与えられている。

http://www.gatik.ai/

GreyOrange:ニトリも導入した倉庫業務自動化ロボット

 倉庫オートメーションロボットを開発・提供している企業。創業者のSamay Kohli氏は機械工学を専攻し、もともと人型ロボットの研究開発に取り組んでいたが、よりロボットが役立つ、言い換えればビジネスチャンスがある業界はどこか探した結果、物流業界に行き着いた。物流業界は自動化があまり進んでおらず、ロボットによって自動化できる作業が多くあるのは自明のことだったという。

 さらに物流業界の中でも、商品配送が急増して倉庫業務の自動化が喫緊の課題のECに目をつけ、EC物流に特化した倉庫オートメーションロボットの開発に取り組むことにしたのだ。

 GreyOrangeが提供するロボットは「Butler」と「Sorter」の2種類である。Butlerは、倉庫内のピッキング業務を効率化する無人搬送ロボットだ。倉庫内の棚を作業者の前まで運ぶことで、作業者が荷物ピッキングのために倉庫内を移動する時間と労力を省ける。一方、Sorterは、荷物のバーコードを読み取って商品別、発送先別に自動で荷物を仕分けるロボットである。

 国内企業では、ニトリがButlerを導入しており、これまでにGreyOrangeは、総額1億7000万ドルの資金調達を実施済みである。

https://www.greyorange.com/



GROUND:AIとロボットで物流プラットフォーム構築

 最先端テクノロジーを活用した物流ソリューションを提供している企業。創業者の宮田啓友氏はアスクル、楽天で物流事業に着手したのち、2015年4月にGROUNDを創業した。

 同社は前掲のGreyOrange社が開発した物流倉庫用のロボット「Butler(バトラー)」を、2016年から国内展開している。ただし、ロボットは要素技術のひとつに過ぎず、狙いはAIとオペレーションによる物流プラットフォームの構築だ。

 そのために同社では、人工知能を利用した物流キャッシュ・フロー改善ソフトウェア「Dynamic Allocation System(DyAS)を開発。物流センター内における在庫配置およびリソース、および物流センターの拠点間配置を適正化する。またDyASを使うことでサプライチェーンの情報を可視化し、予実管理することも可能だ。

 GROUNDはこれまでオカムラ(旧・岡村製作所)や大和ハウス工業と資本業務提携を結んでいる。さらに2018年8月には中国大手ロボット企業HIT ROBOT GROUP社との協業を発表。この協業によりGROUNDが提唱する「Intelligent Logistics」構想を実現するインテリジェントロジスティクスセンターの設立を目指す。中国の「一帯一路」構想を視野に入れての協業でもある。


Infinium Robotics:庫内の在庫管理をドローンが代行

 倉庫内の在庫管理を代行するドローンを開発・提供している企業。Infinium Roboticsは2013年に無人航空機システムを提供することを目的に設立された。当初はエンターテイメントで活用するドローンや飲食店で人に代わって配膳をするドローンなどを開発してきた。

 2018年現在は、倉庫での在庫管理を代行するドローン「Infinium Scan」の開発・提供に重点を置いている。屋外でドローンを活用する場合であれば複雑な規制を遵守することが求められ、さらにブライバシー侵害などの問題にも対処しなければならない。

 一方、在庫管理のような屋内でドローンを活用する場合においては、規制遵守やプライバシー侵害への対処が必要ない。そのためInfinium Roboticsでは屋内の倉庫内で在庫管理を代行するドローンであるInfinium Scanの開発・提供に重点を置くようになった。

 Infinium Scanは倉庫内の在庫確認作業を代行し、従来、人が行ってきた作業を自動化しコストを削減する。コア技術としては、GPS信号が弱くなりがちな屋内において、GPS信号に頼らずともドローンが自ら機体の位置を確認できる独自の技術を用いている。

https://www.infiniumrobotics.com/



Intangles Lab:車両状態や運転行動をリアルタイムでモニタリング

 車両に装着したセンサーから収集したデータをAI(人工知能)で分析し、車両状態や運転行動をリアルタイムでモニタリングできるシステムを開発・提供している。創業者のAnup Vishwas Patil氏は、サウスカロライナ大学でエンジニアリングを専攻して卒業後はソフトウェアエンジニアとして勤務。同社創業前はITコンサルタント企業や旅行予約サイト「Tavisca Solutions」などを起業しており、次に取り組んだのがIntangles Labだった。

 Intangles Labが提供するシステムの具体的な機能は「車両欠陥の予測」「運転行動のモニタリング」「交換すぺきパーツの検出・通知」「収集したデータに基づいた車両管理の方法をアドバイスする分析レポート生成」の4つだ。

 車両欠陥の予測では、15日前に車両状態が欠陥を持つかどうかを予測できる。また、運転行動のモニタリングでは運転が荒かったり、不安定な運転をするドライバーを検出できる。運転の仕方によってインセンティブを変更したりマネジメントツールとしても活用できる。さらに、交換すぺきパーツの検出・通知によって円滑で効率的な車両の管理を可能とする。その他、収集したデータに基づいた車両管理の方法を提案する分析レポートによって車両管理を効率化、ランニングコストを抑えることもできる。

https://www.intangles.ai/

RFルーカス:数cm単位でRFIDの位置特定が可能

 高精度のRFタグがつけられた物品の位置を高精度に特定できるRFIDシステムを開発・提供している。RFIDとは電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み取るシステムのことだ。

 創業者の上谷 一氏は、前職のRFIDのベンダーでシステム開発部長を務めるなど10年以上にわたってRFID事業に関わってきた。その中でRFIDがファストファッションの在庫管理などに利用されるようになりはじめたことで、RFID市場は引き続き成長していくと感じていた。しかし、従来のRFIDは位置特定の精度に数メートルもの幅があり、棚卸などには利用できても在庫管理には利用し難い問題があった。そこで上谷氏はRFIDの読み取り精度を向上させるべくRFルーカスを設立したという経緯である。

 同社のRFタグ位置情報検索システムは、商品の精細な位置情報を水平方向、距離と垂直位置の3D情報で測定する国内初の技術である。数センチメートル単位での位置特定も可能となり、位置特定の精度も大幅に向上した。

 また、RFルーカスはPAL、大日本印刷とも共同して高精度に物品の位置を特定できるRFIDを活用したサービスを開発している。

http://rflocus.com/jp/



Shippio:国際物流における業務自動化を支援

 国際物流を自動化するプラットフォームを開発・提供している。創業者の佐藤孝徳氏は、2006年から三井物産においてエネルギーの貿易業務に従事してきた。貿易業界は160兆円規模の市場であるが、実務やオペレーション業務に非効率が多く存在している業界でもある。そこで佐藤氏は2016年、貿易業界をより効率的なものにするべく機械学習やクラウド、ブロックチェーンを活用したプラットフォーム「Shippio」を設立した。

 Shippioでは、画像解析と機械学習を活用することで自動で通関関係書類を作成できる。また、必要な情報を一度入力するだけで各種書類を作成可能。さらに取引先を一元管理でき、作業効率を上げると同時に業務ミスを防ぐこともできる。また、輸出入に必要な情報を最低限Web上で入力するだけで見積を取ることも可能だという。

 また、同社は2018年12月、第一種貨物利用運送事業者の登録および第二種貨物利用運送事業者の許可を取得し、また国際フレイトフォワーダーズ協会(JIFFA)の正式会員としても登録。これにより、従来のWEB上での見積もり取得、輸送管理にとどまらず、実際に輸出入貨物の運送を行えるようになり、ユーザーは同社に対して貨物輸送の発注が可能になった。

https://shippio.io/

画像
「Shippio」イメージ
(出典:Shippio)

【次ページ】ここまで前半8社、次ページから後半8社を紹介
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