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- 2025/01/24 掲載
JR東日本は「新Suica」で売上倍増するかもしれない理由、JR西日本ICOCAは追い付ける?
連載:小林拓矢の鉄道トレンド最前線
Suicaが超重要? JR東日本の「売上倍増計画」とは
JR東日本は2024年6月に、中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」を発表した。JR東日本は、折に触れて中長期戦略を発表し、その中で「鉄道事業の安定した持続」と、「非鉄道事業の拡大・発展」を表明してきた。「Beyond the Border」では、デジタルプラットフォームの構築を基盤としつつ、特に「Suica」を「移動のデバイス」から「生活のデバイス」に進化させ、Suica経済圏を拡大することで、非鉄道事業の収益や利益を倍増させることを目指している。
具体的に同社は、2023年度の「生活ソリューション領域(IT・Suica、不動産・ホテル、流通・サービス)」の営業収益8,470億円・営業利益1,703億円を、10年後(2033年度)にはそれぞれ倍にする計画を掲げている。
この成長を実現するために、JR東日本は、「Suicaアプリ(仮称)」を作る予定だ。現在、多くの人のスマートフォンに導入されている“移動デバイス” としてのSuicaのアプリとは異なり、鉄道利用者の日常生活を支えるプラットフォームになるようなアプリを目指している。同時に複数存在するJR東日本のアプリを、Suicaアプリを軸にした一体的なサービスに統合していく構想があるのだ。
Suicaはどう変わる? 4つの変更点とは
JR東日本はSuicaを人々の生活を支えるデジタルプラットフォームに変えていくために、Suicaの機能を順次グレードアップする予定だ。「Suicaの当たり前を超えます」ということを打ち出し、あらゆる取り組みを進めているが、その詳細については、2024年12月に発表されている。紹介しよう。たとえば、Suicaの改札システムに関して、従来のローカル処理からセンターサーバー方式への移行を進めており、これにより利用方法が大きく変わっていく。
具体的には、現在Suicaの利用エリアは首都圏や仙台圏などに限定されているが、センターサーバー化により運賃決済を個々の改札機でしなくてもよくなるため、利用エリアをまたいでSuicaを利用することが可能になる。2027年春頃にSuica未導入エリアでスマホ定期券を見せることも可能になるという。
■ポイント(2):改札の利用
そのほか、センターサーバー化により、タッチせずに改札を通過できる「ウォークスルー改札」が実現する可能性があるほか、駅によっては「位置情報を利用した改札」が導入される予定だ。このうち、位置情報を利用する仕組みの下では、JR東日本全線でSuicaを利用できるようになる。
■ポイント(3):新・アプリ
2028年度には「Suicaアプリ(仮称)」が導入されるようだ。これに伴い、鉄道利用におけるサブスク型のサービスや、「鉄道の日」などの記念日や各種イベントのタイミングで配信される鉄道クーポンが提供されるようになる。
■ポイント(4):決済方法・上限金額
加えて、事前チャージによって使用する現在の機能の他にも、クレジットカードなどとの紐づけで「後払い」も実現できるようになるようだ。また現時点のSuicaでは、決済利用上限額が2万円という点がネックになっているが、この金額を超える買い物にも利用できるコード決済機能も設ける予定だ。
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