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- 2024/08/06 掲載
運送会社もぼやき節…「運賃値上げ=良い荷主」ではない納得理由、健全な取引とは何か
連載:「日本の物流現場から」
リリカラの「デリバリー体制」がスゴイ
リリカラは、壁紙を中心に、カーテンなども取り扱うメーカーである。リリカラのサプライチェーンは複雑である。ファブレス(自社で製造機能〈工場〉を持たないメーカーのこと)であるリリカラは、サプライヤーが製造した商品を、国内6カ所にある流通センターに集積。現場(住宅、店舗、オフィスなど)の要望に合わせ、壁紙を適正サイズにカット(流通加工)してから出荷している。
リリカラの壁紙を取り扱う代理店は約300店舗。それら代理店から、日々7000~8000のオーダーがあるという。
現場において、壁紙を貼るのは、建築・施工プロセスの中で終盤である。当然、現場によっては、きちんと計測し、壁紙を発注したつもりでも、追加工事、仕様変更、計測ミス、施工ミス等によって壁紙が不足することもある。
こういった現場の事情や、壁紙という商品特性もあり、「今すぐ壁紙がほしい!」という緊急のニーズが発生する。これらの要望にも応えるため、リリカラでは、即応性の高いデリバリー体制を構築している。
たとえば午前中早めの時間帯のオーダーであれば、午後イチで配送。午後からのオーダーでも、当日中に配送する、といった具体だ。そして壁紙という商品の特質上、どうしても手積み手卸しが中心になってしまうのも、運送会社にとっては対応の難しい条件となる。
だがリリカラが、壁紙業界の中で大きなシェアを獲得しているのは、商品力や品質もさることながら、先述したようなきめ細やかなデリバリー体制を、全国約20社の運送会社が維持できているからこそであろう。
では、なぜこのようなデリバリー体制を維持できているのだろうか。リリカラ インテリア事業部 物流本部長 執行役員である有田 陸氏、経営企画室 室長 執行役員の中村 新氏と、リリカラの商品を運ぶ日東物流 代表取締役の菅原 拓也氏にインタビューしたところ、運送と荷主が目指すべき関係性が垣間見えてきた。 【次ページ】運行3割で法令超過の「長時間労働」……どう改善?
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