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今や多くの企業が取り組み始めているデジタルトランスフォーメーション(以下、デジタル変革)。そんな中で、早くもこの動きが次なるステージである「第2章に突入した」と話すのは、日本IBMの山口明夫社長だ。一体、どういうことか。企業はこの動きにどう立ち向かえばよいのか。
トライアルから本格的な取り組みが始まったデジタル変革
「企業のデジタル変革は2019年から“第2章”に突入した」──。日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の山口明夫社長は、同社が先頃都内で開催した顧客向けの年次イベント「Think Summit」の基調講演でこう切り出した。このメッセージはIBMがグローバルで発信しているものだ。
これまでのITだけでなく、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)、クラウド、ソーシャルネットワークなど最新のデジタル技術を活用して、ビジネスのさらなる効率化や新規市場の創出を図るデジタル変革。今後の企業競争力の決め手になるとして、その必要性は数年前から叫ばれていたが、ここにきてようやく多くの企業が取り組み始めたというのが実態だ。
日本が直面する課題でいうと、経済産業省がデジタル変革の必要性を説いて話題になった「2025年の崖」と題したレポートでは、デジタル変革が遅れると2025年以降、年間12兆円の経済損失が生じる一方、デジタル変革を進めようにも今のままでは2025年に43万人のIT人材が不足すると指摘。つまり、人材育成を含めてデジタル変革を推進しないと、日本の競争力が失われる事態に陥りかねないというわけだ。
デジタル変革「第2章」とは
そうした中で、山口氏が語った「第2章」、さらに「その先へ」とはどういうことか。それを端的に示したのが、図1である。同氏はまず、第1章から第2章への変化について、次のように説明した。
「以前からあったデジタル技術の適用について小さな規模から実証実験をくり返し、業務全体のうち20%をデジタル化したのが第1章。これに対し、第2章は急速に進歩するデジタル技術を駆使して基幹システムの刷新も視野に企業全体で取り組み、内部に蓄積されたデータをフル活用して業務の残り80%をデジタル化するステージだ。つまり、第1章ではトライアルだったデジタル変革を、第2章で本格的に推進すると。そこで最大のポイントになるのは、企業として“攻めに打って出る”ことだ」
そして、第2章からその先へ向けては、次のように述べた。
「第2章はまさしく企業にとっての本格的な取り組みを意味するが、その先には社会が変革していく。たとえば、この先10年も経てば、自動運転の車が普通に走り、ドローンでどこにでも荷物が運ばれ、街にはプロジェクションマッピングがあちこちに施されているかもしれない。そう考えると、第2章はそうした新しい社会に向けたワンステップでしかないと捉えることもできる」
こう聞くと、第2章は存在感が薄いようだが、新たな社会へ向けて飛躍的に進化するステージを迎えたともいえよう。
【次ページ】「デジタル変革の7階層」を“第2章”の道しるべに
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