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  • 2018/11/05 掲載

ローソン 竹増貞信社長が語るデジタル戦略、2025年に「店舗」はどうなるのか

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AIによる発注業務の自動化支援やRFIDタグによる清算の自動化など、デジタルによる店舗開発に積極的なローソン。実はその根底には、人との触れ合いによる温かで安心できる店を作りたいとのヒューマンファーストの考え方がある。理想の実現に向け、ローソンはどのような青写真を描いているのか。また、そのための方策とは。「CEATEC 2018」のキーノートセッションに登壇したローソン 代表取締役 社長の竹増貞信氏が、同社のデジタル戦略とコンビニの未来像について語った。
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ローソン 代表取締役 社長 竹増貞信氏

“やりたい放題”のポジションにある優位性

 小売業界は今、熾烈な競争の渦中にある。長年の値下げ合戦に加え、近年ではネット通販が台頭し、買収などを通じてリアル店舗の運営にも乗り出す。

 その一方で、リアル店舗はサービス強化で迎え撃ち、逆にネット通販で収益拡大の機をうかがう。そうした中、一人勝ちを続けてきたコンビニも競争に巻き込まれ、「コンビニ神話も崩壊した」との囁きも聞かれている。

 ローソンで代表取締役 社長を務める竹増貞信氏は、「コンビニが踊り場を迎えているとの見方は否定しません。しかし、それは『我々にとっては』という意味でです」と訴える。

 その言葉の真意とは。「最後に勝ち残るのは、最も強いものでも、最も賢いものではなく、変化に最も適応できたものだ」――ダーウィンの進化論における有名な言葉だ。

 これをコンビニ業界に当てはめると、「ローソンは現時点で、残念ながら強くも賢くもありません」(竹増氏)。ただし、チャレンジ精神にはあふれていると意気込む。

「リーダーが失敗すると、業界の先行きが危ぶまれます。ゆえにリーダーは判断に慎重になってしまいがちです。しかし当社であれば、たとえうまくいなかくても、期待がそれほど高くないこともあり、『次はがんばれ』と激励を受けることがほとんどです。これは、追う立場だからからこその強みであり、特に先行きが不透明なコンビニ業態での業界3位は、“やりたい放題”に挑戦できる絶好の立ち位置だと言えるのです」(竹増氏)

リアル店舗の価値向上の“核”は人の温かみ

 現在、ローソンはリアル店舗とネット通販の2つの顔を併せ持つ。今後、後者が伸びるのは時代の趨勢だが、リアル店舗はどうか。

 竹増氏は、「ローソンの店舗数は約1万4000店舗。競争に勝ち抜く条件となるのは、それらすべてでリアルならではの価値を高めていくことです」と強調する。

 目指すのは、デジタルで人同士のつながりを強めた、より大きな温かみと安心を顧客に与えるサービスだ。たとえば、体調を調べるために店舗に寄ると、店員が嗜好に合った店内調理のサラダを紹介する。テレビ電話で医師の体調チェックを受けた後は、体調に応じた薬やサプリメントも受け取れる。それらの代金は顔認証技術などで個人を特定し、口座から自動的に引き落とされる。

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ローソンのサービス向上策の根底にあるのは温かみのある接客。数あるデジタルの仕掛けも、そのために整備される

 そこには、「ITだけに頼り、人とのつながりが薄れてしまっては、消費者の生活が無味乾燥になりかねない」との危惧があるという。

「このうち最も大事にしたいのが人の触れ合いです。心の通う交流こそ店舗の本当の存在価値と私は考えます。確かに、昔ながらの接客は労力的に難しい面もあります。だからこそ、店員を支援するためにITをフル活用するわけです」(竹増氏)

 竹増氏がコンビニに初めて触れたのは、1975年にローソン1号店が大阪府豊中市に開店して間もなくのころである。当初は「治安が悪くなる」「ポイ捨てが増える」との声が少なからずあったという。そうした逆風の中で、ローソンは24時間営業やコピー機、収納代行、マルチメディア端末の「Roppi」など、消費者の要望を踏まえてサービスを拡充。その利便性の高さから、阪神淡路大震災などのライフラインとしても機能することで、コンビニは街のインフラの1つに位置づけられるまでになった。

【次ページ】地方の減少人口の中でプラットフォームを目指す
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