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- 2020/02/19 掲載
ゼロからわかるRFID 流通小売業効率化のため、押さえておくべき基本知識
RFIDとは何か?そのメリットとデメリットは?
RFIDとは「Radio Frequency Identification」の略です。日本語では「無線周波数を用いた個体識別技術」と言い換えられます。個体を“識別する側”として「リーダライタ(読み取り装置)」、“識別される側”として「タグ/チップ」という要素で構成されています。人間が目で相手の顔を見て、相手を認識する代わりに、リーダ(目)でタグ(顔)を読み取ると考えて良いでしょう。RFIDという単語自体は「技術そのもの」を指すこともあれば、リーダライタやタグを合わせた商品カテゴリとして呼ばれることもあります。個体認識用のタグについてもさまざまな呼ばれ方があり、「RFIDタグ(タグ全般)」「RFタグ(全般もしくはICを含まないタグ)」「ICタグ(ICを含むタグ)」「ICチップ」(注1)などと呼ばれています。それぞれ微妙に意味が異なり、使い分けられることもありますが混用される傾向があります。基本的には、同じようなものを指しているという認識で構いません。
RFIDの詳しい仕組みについては後述しますが、技術の核となる部分は極めてシンプルです。リーダ側がタグ側に向かって電波を飛ばし、タグは受け取った電波に合わせて自分自身に関する情報を電波に乗せて送り返すという仕組みです。
たとえば電話で「もしもし、どなたですか?」と声をかけ、相手が「はい。◯◯です」と答えているのと同じです。ただ、電波の受け取り方や飛ばし方、電波の種類、タグのサイズ、用途などに応じてさまざまな方式があり、奥の深い技術となっています。
このRFIDと比較されやすい技術にバーコードやQRコードのような「光学認識型の識別技術」があります。こちらは「黒い線や点の並び」を顔の変わりのコードで表現し、リーダ側でコードを読み取ります。RFIDと違い電波ではなく「光」を使っているのでまったく異なる特性を持ちますが、「個体識別」の目的では同じように使われます。
RFIDの大きなメリットとしては「リーダとタグの間に障害物があっても使える」「タグ側の情報を書き換えることや暗号化できる」といった点があります。そのため光学認識型に比べて応用範囲が広いのが特徴です。一方で、印刷するだけで使える光学認識型とは違い、タグは金属部品を使った特殊な部品でありコストがかかる点がデメリットです。
どこで使われている?RFIDの用途や目的
RFIDはさまざまな用途で利用されています。普段の生活で多く見かけるものは「交通系ICカード」やカードタイプの「電子マネー」ではないでしょうか。このケースでは、ICタグの内部に識別用の認識情報・残高・履歴等の情報が入っており、リーダにかざすことで持ち主を識別し、残高を参照して支払いを行います。この際に記録されたお金のやり取りはネット経由でサーバに記録されます。そのため、A社でお金を入れたICカードを使ってB社で買い物をしたとしても、A社とB社の間でお金がやり取りされ、店舗やグループを問わず電子マネーを利用することが可能です。
また、アパレル業界などではバーコードの代わりにICタグを導入し、商品管理を行うアプローチも進んでいます。
店員がリーダを持って検品作業を行えば店員は商品に触れることなく効率的に検品作業を行えます。さらに、リーダを搭載した無人レジや防犯ゲートと組み合わせると、顧客はかごに商品を入れたまま1人で清算ができるようになり、店員が顧客の応対に専念できるようになります。
検品や精算にかかる人件費を削減しつつサービスの質も向上するため、ユニクロやGU等を擁するファーストリテイリンググループなどでは積極的に導入しています。
ただ、バーコード代わりにICタグを導入し、タグを外さず商品と一緒に持ち帰ってしまう形になるためICタグのコストはそのまま原価に反映される点がネックです。商品単価が高く利益率への影響が少ない業界から順に導入が進んでおり、ICタグのコストが下がれば商品単価の低いコンビニやスーパーなどにも導入が進むとみられています。
そのほかにも、工場や倉庫で部品や製品にタグをつけて在庫や位置情報の管理、オフィスやイベントでスタッフや顧客にタグを渡して入退場のチェックや位置の確認を行う目的での導入も進んでいます。
小型・低廉化が進んで小さな部品にも取り付けられるようになり、紛失や組み立て時の見落とし防止にも使えるようになりました。逆に大型のタグを利用することで、海外では簡易のETCとしての応用も進んでいます。RFID技術の応用範囲はどんどん広がっており、今後も新しい用途が増えていくことでしょう。
【次ページ】RFID3種類の仕組み、安全性や市場規模もチェック
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