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  • 2019/04/24 掲載

クリーンエネルギー「100%義務付け」へ、米カリフォルニア州に見る商機

連載:米国から見るエネルギー最前線

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2018年9月、米国のカリフォルニア州において、同州内で使用される電気に関して、2030年までに電力の60%を再生可能エネルギーで、2045年までに100%を再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーで賄うよう、電気事業者に対して義務付ける法案「Senate Bill 100(SB 100)」が成立した。トランプ大統領就任後、「パリ協定」からの離脱を表明するなど、米国の気候変動問題への対応が混迷する中、改めて同州は独自に気候変動問題に対応していく姿勢を明示した形となった。今回は再生可能エネルギーの導入などに関して世界をリードしてきたと言われているカリフォルニア州の歴史を紐解き、気候変動問題対策としての再生可能エネルギー政策の最前線を概観する。
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カリフォルニア州パームスプリングスにおける無数の風車
(写真:筆者撮影)

カリフォルニア州のエネルギー政策の歴史

 カリフォルニア州は、1988年に創設されたエネルギー委員会を中心に、さまざまな形で気候変動問題への対策を打ち出してきた。

 2000年に発生した電力危機、さらに2000年から2001年にかけての天然ガスの価格高騰に対する懸念などに端を発して、電力の安定供給と環境対策を推進する上で「再生可能エネルギー」を重要な柱として位置付け、大幅な導入に舵を切ってきた。

 まず2002年に、州議会において「Senate Bill 1078(SB 1078)」が可決された。これにより、小売電力に占める再生可能エネルギーの割合を2017年までに20%に引き上げるため、小売電力業者に再生可能エネルギーからの電力調達を義務付ける「再生可能エネルギー利用割合基準制度(RPS)」が導入された。

 2002年以降、目標の前倒しや再設定などを繰り返し、今般2045年までに100%を再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーで賄うという最終ゴール地点を設定したのである。

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 また、同州において、政治や行政が完全にコミットメントする形での気候変動問題に対する本格的な取り組みは、2006年の2つの法案可決から開始された。

 1つ目は、「California Global Warming Solutions Act of 2006(Assembly Bill 32: AB32)」である。これは、州独自の地球温暖化対策法案として制定・可決された州独自の法案で、2020年までに温室効果ガス排出量を1990年の水準まで引き戻すことを定めている。

 2つ目は、「Senate Bill 1368(SB 1368)」である。こちらは、各州の公益事業委員会とエネルギー委員会が、各州内のすべての小売事業者に対して温室効果ガス排出基準の順守を義務付けるものである。

 前述のRPSに加えて、分散型再生可能エネルギー電源への投資を促すため、同州では「ネットメータリング制度(Net Metering)」を導入している。

 この制度は、分散型電源を利用して発電した発電量が自らの消費量よりも多かった場合に、その余剰分について金銭的な還元を受けることができる制度である。

 現在の同制度は、ネットメータリング2.0(NEM 2.0)と呼ばれ、従来の制度と比べると、制度利用者に対して系統接続費用として1メガワット(MW)以下の分散型電源に$75から$150という一定の負担を課す形となっている。

 さらに、1999年1月から2024年12月末までに設置された特定の種類の太陽エネルギーシステムに対する固定資産税の課税免除を認めた、太陽エネルギーシステムの固定資産税免除(Property Tax Exclusion for Solar Energy Systems)も存在する。課税免除の対象は、該当する設備価格の100%であり、デュアルユース設備の場合は75%となっている。

カリフォルニア州独自の再生可能エネルギー導入支援策

 これらに加えて、同州は以下の表のような州独自の再生可能エネルギー導入支援策も打ち出している。

カリフォルニア州における主な再生可能エネルギー導入支援策
プログラム名概要
Go Solar California!カリフォルニア州エネルギー委員会とカリフォルニア州公益事業委員会の共同事業。各種の補助金や税額控除などの情報を一元化し、ワンストップで提供する機能を有する。
California Solar Initiative2007年から2016年まで行われた太陽光技術の研究や開発、実証およびその展開・普及のための助成金。
New Solar Homes Partnership2007年から2016年まで行われた新築住宅への太陽光発電システム導入に対する助成金制度。


 これらの再生エネルギー導入政策と並行して注目を集めるのが、電力供給の安定化に資する大規模蓄電池などのエネルギー貯蔵システム導入への支援策である。

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カリフォルニア州南部に広がる大規模太陽光発電
(写真:筆者撮影)

 その支援策として存在するのが、Self-Generation Incentive Program(SGIP)だ。これは、同州の公益事業委員会によって定められた、分散型電源導入に対する支援制度である。補助対象には、風力タービンやガスタービン、燃料電池、その他先進的なエネルギー貯蔵システムが含まれる。同制度の総支援額の6割以上が規模を問わないエネルギー貯蔵システム導入への支援に利用されている。

 また、同委員会は、大手の電気事業者(IOU:Investor Owned Utility)に対して、2020年までに1・3ギガワット(GW)を超えるエネルギー貯蔵の調達を義務付けている。

 このように、蓄電池などのエネルギー貯蔵システムの導入を巡る動きが盛んになっている。

【次ページ】最前線を行く、カリフォルニア州の再生可能エネルギー導入状況は?
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