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- 2018/05/24 掲載
スマートテレビ市場は今後どうなる? アマゾン参入による地殻変動のゆくえ
西欧・アジア・南米・アフリカで需要増
スマートテレビとは何か? どのように登場したのか
その後、2010年頃にはプロセッサ高速化やメモリ大容量化に伴い、利用可能なアプリが増加・高度化した。そして、これらの高いハードウェア性能とインターネット接続機能を備えたテレビが、「スマートテレビ」と呼ばれるようになった。
2013年にはインターネットとの連携による放送 (ハイブリッドキャストサービス)が実用化され、現在ではインターネット経由の放送コンテンツの配信についても、サービスの多様化が進んでいる。
総務省が新たな放送・通信連携サービスを可能とする「次世代スマートテレビ」の普及を推進するなど、日本でもスマートテレビ産業を後押しする動きがみられる。
ハイエンドなプロセッサチップ、組み込みOSを含むスマートテレビは、インターネット接続(有線および/またはWi-Fi)をサポートし、インターネットのブラウザや、アプリケーションのダウンロード、インストール、実行を可能にする。
このことにより、インターネット上の映像を視聴することができたり、ゲーム機器などとの機器間連携、アプリケーションソフトによる機能拡張、最新のユーザーインターフェイスによる簡単な操作などができるようになる。他のアプリケーションのハブとなる機能を有するテレビ = スマートテレビといえる。
技術の進化に伴ってスマートテレビの製造コストが年々急減しており、消費者にとってテレビを買い換えやすい状況となっている。そのため、先進国市場はもちろん中国など価格が重視される市場でも、スマートテレビへの需要は高まっている。
スマートテレビ市場(アジア、欧州、南米、北米など)
フロスト&サリバンの調査では、2017年から2023年の出荷台数における世界スマートテレビ市場の年平均成長率(CAGR)は約4%。2017年には約2億台出荷されており、2023年には、出荷台数は2億5000万台に上ると予測されている。北米は急激な価格下落と、魅力的な4Kテレビへの需要から、現在も市場成長が続いている。しかし、今後は落ち着くと考えられている。
平均所得の高い西欧では、中欧・東欧よりも市場の成長スピードが速い。アジア・太平洋地域はスマートテレビ市場における最大の市場であり続け、中国がこれを先導している。中国は2017年にさらに急成長し、市場の大部分を占めると見られている。
ラテンアメリカでは、特にブラジルとメキシコでの需要が大きい。これは、2016年にリオで開催されたオリンピックに備えて、高機能なテレビに対する需要が増加したことが原因と考えられている。
サムスンのスマートテレビ戦略事例
スマートテレビの具体例として、サムスンの取り組みを紹介する。サムスンは、UEFAチャンピオンズリーグやFIFAワールドカップなどの大会の最新動向などスポーツニュースコンテンツを顧客に提供したいと考えていた。そこでサムスンは膨大なスポーツ関連ニュースのプロバイダであるsntvと提携し、コンテンツの提供を始めている。
ユーザーはサムスンのテレビ上でスポーツニュースやハイライト映像の視聴タイミングを自在に変更することができ、画面スワイプも可能である。sntvアプリはすべてのサムスンテレビに導入されており、世界中のユーザーがスポーツニュースを楽しんでいる。
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