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  • 2019/09/27 掲載

データ・マネタイゼーションとは何か?4つの市場で解説する「データ収益化の方法」

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「データこそが次の金脈」というコメントにうなずく人は多いだろう。では、具体的にどうやってデータを収益に変えるのか。この「収益化」こそデータ・マネタイゼーションだ。本稿ではデータ・マネタイゼーション市場をさらに4つの市場に分けて解説。「データでお金を作りたい」というあいまいな希望を「データをどの市場でどう使ってお金に変える」という戦略に変換する有用なヒントになるだろう。
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データ・マネタイゼーションとは何か?
(Photo/Getty Images)

データ・マネタイゼーションとは?

 データをやり取りしてお金に換えるビジネスは、昔から存在する。

 名簿ビジネスがわかりやすい例だ。名簿の買取業者は、卒業生名簿や電話帳などを手あたり次第買い取って蓄積し、膨大な個人情報データベースを作成している。このデータベースは「金のなる木」として民間企業に販売され、マーケティングや営業活動に利用されている。

 たとえば、データベースに一定のデータ処理を施した上でグラフや図表で可視化すれば、人口や年齢分布、それぞれの家の世帯構造を把握できる。その結果、企業は自社がターゲットとして設定した顧客層に効率的にアプローチできる。

 近年では、視覚化やシンプルな相関分析だけでなく、人工知能や機械学習・統計モデリングを活用した分析も本格化している。これらの技術により、不完全な実データに対して統計的な補正をかけたり、精度の高い需要予測の実行、収益向上に結び付くビジネス指標を発見したりすることが可能になった。

 手元にあるデータから収益の創出が容易になったことで、データビジネスは飛躍的に拡大し、大きな経済圏を形成している。組織内部にあるデータだけでなく、外部の組織・団体が保有するデータも幅広く入手し、収益向上や業務改善を図る企業も増えている。

 このようにデータを幅広く収集し、そこから新たな価値や収益を生み出すモデルは、データ収益化(データ・マネタイゼーション、Data Monetization)と呼ばれている。
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「データ=金脈」のビジネスは以前から存在していたものだ
(画像提供:フロスト&サリバン)

データ・マネタイゼーションの4つの市場

 現在、世界では1日に2.5 Quintillion Byte(10の18乗バイト=100京バイト)ものデータが生成されている。フロスト&サリバンでは、2020年には40 Zetta Byte(10の21乗:10垓)ものデータ量が生み出されると予想している。

 このようなデータ増加に呼応して、データ・マネタイゼーション市場もますます活発になる。データ・マネタイゼーション市場は、以下の4つに大別できる。

1. データ・バータリング(データの物々交換)市場
 データ・バータリングは、データや何らかのサービスと引き換えに第三者のデータを提供してもらう取り引きモデルである。この市場で最も身近なプレイヤーは、マーケティング担当者である。彼らは、一般消費者から個人データの提供を受ける代わりに、クーポンなどを提供する。そのほか、さまざまな企業間でのデータ連係スキームに基づいて実データがやり取りされる場合もこの例にあてはまる。

2. データ・ブローカリング(データの仲介)市場
 データ・ブローカリングは、データ提供元であるブローカーが、公的記録やオンラインアクティビティデータなどを収集して前処理(クレンジング)を行い、分析可能な形式で提供するモデルである。

 フロスト&サリバンでは、当業界がオープンソースの可用性向上とデータストレージのコスト削減などの成長要因により、2018年から2023年にかけて12%の平均成長率を達成すると予測している。主なデータブローカーとしてAcxiom、Experian、Equifax、Datalogix、Epsilonが挙げられる。企業が自前でクレンジングを行うには高いコストがかかるため、ブローカーを活用して手っ取り早くビジネスに適用可能なデータを取得するケースがみられる。

3. インサイト・バータリング(知見の物々交換)市場
 Insight Barteringはデータや何らかのサービスと引き換えに、自社のインサイト(知見・洞察)を提供・還元するモデルである。企業間取引だけでなく、企業と行政・研究機関の提携事例も多い。配車サービスであるUberによる、交通データプラットフォームUber Movement提供も、この市場に当てはまる。

 現在、都市や研究機関が、Uber Movementの提供を受けている。これにより、都市開発や交通整理をより効率的に行うと同時に、Uberも研究成果の恩恵を受けられる。

4. ビジネス・インテリジェンス市場
 ビジネス・インテリジェンスは、データ分析ソフトウェアによってデータを知見・洞察に変換するモデルを指す。具体的な機能には、データ解析・視覚化、レポート作成などが含まれる。 特に近年のBIソリューションは、高度な機械学習や統計分析手法を提供してくれるものも多い。

 この市場では、ソフトウェアプロバイダーが新規ビジネスとしてデータ分析用BIツールの提供を行う事例も多い。マイクロソフト、Verizon PII、タブロー、オラクル、SASなどがプレーヤーとして挙げられる。

 上記の4つの市場の成熟度を比べた場合、成熟度が比較的高いのは、データ・バータリングである。冒頭で紹介した伝統的な名簿データ取引ビジネスもこのカテゴリに含まれる。

 また直近で高成長が見込まれるのがデータ・ブローカリングであり、ビジネス・インテリジェンスもそれに追随している。大規模なシステム構築、パートナーシップ関係が要求されるインサイト・バーたリングは市場としてまだ成熟度は高くない。しかし、工夫次第では長期的に安定した収益を上げ続けられる。

【次ページ】データ・マネタイゼーション4市場の具体的事例
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