- 会員限定
- 2018/06/27 掲載
データストレージ技術の未来を徹底予測、金融・教育・ヘルスケアはこう変わる
フロスト&サリバン連載
次世代データストレージとは何か
データストレージ技術は、安全で高度なデータ管理システムを備えた大容量のストレージ機能を提供することから、さまざまな業界の技術進歩とトレンドの多くを支えている。
近年、データストレージ技術は技術革新の最前線に位置している。接続デバイス、人工知能(AI)、スマート工場の導入によるデータ流入の指数関数的な増加は、データストレージの需要を急増させ、データストレージ技術の進展を促している。
注目されるデータストレージ技術
需要の高まりとともに注目が高まるデータストレージ技術。ここでは特に脚光を浴びている技術を紹介したい。以下、ストレージとメモリという言葉が混在するが、ストレージとはデジタル情報を記憶・保存する装置の概念を指し、一方メモリはそのストレージ装置の技術を指す。◆不揮発性メモリ
不揮発性とは、外部からの電力の供給なしにデータを保持することが可能なことをいう。反対に、揮発性とは、外部からの電力の供給がないとデータを保持することが不可能であることをいう。
揮発性メモリは不揮発性メモリに比べて一般的に高速であるため、不揮発性メモリは優れたデータ保持能力と、揮発性メモリに迫る高速性の両方を有する必要がある。磁気メモリ、フラッシュメモリ、抵抗メモリなどのさまざまなメモリ技術の研究により、速度、性能、容量の面で高品質な不揮発性メモリの開発が進んでおり、さらなる注目を集めている。
上図は、不揮発性メモリの特許公開動向を示したグラフである。特許動向は、強誘電体メモリであるFRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、磁気抵抗メモリであるMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、抵抗変化型メモリであるReRAM(Resistive Random Access Memory)などの主に3つの技術で構成されている。
フロスト&サリバンの分析によると、FRAM、MRAMおよびReRAMは、現在市場で最も需要の高い不揮発性メモリであるため、中心的な役割を果たすと見込まれている。また、2016年に3つの技術すべての公開特許数が増加しているが、これは、これらの技術に投資している企業が、研究段階から生産段階に移行したためであると考えられる。
◆ネットワークメモリ
スマートオートメーション、機械学習、EHR(電子健康記録)などの多くの技術が実用フェーズに入り、勢いを増している。データは、これら技術の進歩の基礎である。そこで、データ処理の簡素化に重点を置くことに加え、自動化が最も重要となる次段階にストレージ技術を高めるため、ネットワークストレージの概念が考案された。ネットワークメモリにより、重要な情報をクラウドに格納することが可能となり、これもデータストレージの需要を高めている技術のうちの1つである。
【次ページ】データストレージ技術のこれまでとこれから
関連コンテンツ
PR
PR
PR