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IDC Japan リサーチバイスプレジデント 佐伯純一氏は、2011年はIT市場で第三の波が始まると指摘する。IBM PCが発売された1981年から30年が経過したいま、確かに我々のまわりには、新しい未来を予感させるテクノロジーがあふれている。佐伯氏はIT市場の第三の波とは何か、それによってIT市場はどう変わっていくのか、特にコアとなるモビリティ(モバイル)、クラウド、ビッグデータの要素技術にも言及した。
2011年、IT市場の第三の波がはじまる
IDCの調査によれば、リーマンショック前年にあたる2007年の国内IT市場の規模は13.9兆円。そして、2008年にリーマンショックが起き、翌2009年はその影響で市場は大幅にシュリンク。12.2兆円まで落ち込んだ。2010年はリバウンドしたが、今年2011年は大きな震災を経験し、市場規模は若干マイナスになると予想されている。ただ、復興需要への期待もあり、予想されている市場規模は12.4兆円。大幅なシュリンクは避けられそうだ。また、これから数年間は、どうやら12兆円代を推移するというのが大方の見方のようである。
さらに、今年、2011年はIT業界にとって大きな変革の年になるとDirections Tokyo 2011で登壇したIDC Japan リサーチバイスプレジデント 佐伯純一氏は指摘する。未来学者 アルビン・トフラーが提唱した「第三の波」になぞらえて、2011年をIT市場の第三の波がスタートする年とするのが佐伯氏の考えだ。
まず、第一の波が1960年代からメインフレームを中心とするコンピュータ利用だ。その時点でコンピュータに関わる人々の数は数百万人、メインフレーム上で動いているアプリケーションはせいぜい数千本だった。これが1981年に登場したPCによって変わる。メインフレームの能力を凌駕するPCも現れはじめ、ユーザー数は全世界で数億人に達しった。1986年を区切りとしたのは、IBMがPCを市場に投入し、本格的にビジネスで使われはじめた年だからだ。そして、これが2011年まで続いた。
「そして2011年は第三の波が到来します。モバイル、それを支えるモバイルブロードバンドという高速通信サービス、クラウド、SNS、そしてビッグデータ、これらが一気に本格的に使われ始めたのが2011年なのです」(佐伯氏)
ビッグデータの活用を考える企業が急増
第三の波を構成する要素として「ビッグデータ」がある。これはただサイズの大きいデータという意味ではない。そこからさまざまな価値を生み出すことのできるデータ全般およびテクノロジーを意味している。IDCでは「ビッグデータテクノロジー」を次のように定義している。
収集・発見・解析プロセスを高速に実行することで、大規模かつ多様なデータから価値や意味を低コストで引き出す新世代の技術アーキテクチャ
ビッグデータが注目される背景には、データ生成に必要な手間・コストが大幅に低下したことがある。特に注目されているのが、モバイルデバイスから生成される非構造化データだ。
たとえば、スマートフォンでWebサイトを表示すればURLや履歴が生成される。サイト内を行き来すれば、その行動がログとして記録される。SNSを利用すれば、ユーザー自らがさまざまな情報を発信するとともに、他のユーザーの情報を受け取ることにもなる。つまり、「モバイルを使う」「SNSを利用する」という当たり前の行為が、大量の非構造化データを生成しているのである。
さらに、こうして生成されたデータを分析するコストも安くなっている。その代表がHadoopだ。Hadoopが出てきたことで、比較的安価に非構造化データを容易に分析できる環境が整ってきた。
こうした環境変化により、ビッグデータをマーケティングや新ビジネスの開発などに活用しようとする企業の動きが活発化していると佐伯氏は指摘する。
「GoogleやYahoo!、Amazonなどは、ビッグデータの分析を自分たちのビジネスコアとしてやっているわけですが、いまは、同様のことを製造や流通といった一般の企業が、自分達のビジネスに活用する目的で始めようとしているのです」(佐伯氏)
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