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2017年を振り返ると、インバウンドおよび国内のQR決済サービスの台頭、デビットカードイシュアの増加、Alipayの日本進出模索など、決済にまつわるさまざまなニュースが目立った。非現金取引によって、プラスとなる面は多く、その流れは2018年以降も続いていくように思う。一方で、現金利用者へのニーズも踏まえ、国内の実情にあった展開が必要であるとも強く感じた。個人的に、2017年でもっとも大きなインパクトだったのは、ZOZOTOWNの「ツケ払い」浸透に代表される、現金を用いた後払い決済の裾野拡大だった。
10カ月で利用者100万人突破の「ツケ払い」、すでに定着か
衣料品通販サイト「ZOZOTOWN」が2016年11月から開始したツケ払い。支払期限が商品注文日から最大2カ月後となる決済として注目を集め、取り扱いが拡大している。
利用限度額は、5万4,000円(税込)で、1回当たり324円の手数料が必要だ。利用者は、クレジットカード決済や「Amazon Pay」などの支払い手段の中から、「ツケ払い」を選択し、商品到着後に郵送されてくる振込用紙付きはがきで、指定のコンビニエンスストアや銀行で支払いが行える。
「ツケ払い」では、GMOペイメントゲートウェイの子会社であるGMOペイメントサービスが提供する「GMO後払い」を導入している。もともとZOTOTOWNでは、GMOペイメントゲートウェイのクレジットカード決済サービスを利用しており、決済のラインアップを拡充したこととなる。
「ツケ払い」については、数多くの批判も見受けられた。実際に、SNSなどでは、ツケ払いで支払いができなくなったという若年層の書き込みも見られ、専門家からは“お金がない人の利用を助長する決済サービス”という指摘も多かった。それを受けて、ZOZOTOWNでは未成年保護者の同意を必要とし、チェックボックスを設置するなどの対策も行っている。
サービス開始から約10カ月の2017年8月18日、ZOZOTOWNでは、「ツケ払い」の利用者数が100万人を突破したと
発表。同時に利用者の属性も公表した。「ツケ払い」利用者は、ZOZOTOWNのアクティブ会員属性と同様に、男女比では女性の比率が高く、年齢分布についても20~30代を中心に幅広い層に利用されているとした。リリースからは、従来よりもZOZOTOWNを利用する顧客層を広げるという目的は達成されているように見受けられる。
後払いは「掛け払い」として市場黎明期のEC決済を支える
確かに、お金がない人でも利用できるサービスのような流れが浸透するのはよくないことだ。クレジットカード利用者が口座からの引き落とし時点での残高を考えて買い物をするように、後払いの利用者も支払いが滞ることのない範囲で買い物をする必要があるだろう。
また、通常、学生のクレジットカードの利用上限額は10万円程に設定されることが多いが、後払いの多くのサービスでは5万円ほどに設定されているように、与信枠もクレジットカードよりも厳しめだ。
しかし、そもそも後払いは「掛け払い」として、日本の通販サイトで古くから展開されてきたサービスだ。実際、カタログ通販などでは、全注文に占めるコンビニ後払いの割合が半数を超えるサイトもある。ECサイトにとっては、クレジットカードを保持していない主婦や若年層等、幅広い顧客を取り込むことが可能だ。
また、商品が実際に届いたことを確認してから支払えるサービスとしての安心感も享受できる。消費者の中にもコンビニ決済・銀行振り込みを求める声は依然として多く、決済の間口を広げることにより、ECサイトはかご落ち(商品をショッピングカートに入れたにも関わらず、購入をやめること)を防止可能だ。
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