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- 2017/12/20 掲載
ETロボコン2017レポート、どんなロボット向けソフトウェアが評価されたのか
市販ロボットを題材にソフトウェアを競う
このチャンピョンシップ大会は、走行競技とモデル審査(分析・設計など)を経て、コンテスト方式によって全国12地区、321チームの中から勝ちあがってきたチームが出場。走行競技の結果だけでなく、モデリングも重視されており、両方の調和平均をとったバランスの良いチームが、最終的に総合評価される。
コンテストは、基礎技術を学んでチャレンジする「プライマリークラス」と、技術を応用できるスキルを磨くための「アドバンストクラス」の二部で構成の「デベロッパー部門」が中心だが、今年より自らの価値を創造できるエンジニアの育成を目指す「ガレッジニア部門」が新設された。
いずれの部門も、さまざまな立場の人々が参加しているが、特にデベロッパー部門のアドバンストクラスは、現役エンジニアの割合が多い。走行競技の内容は、使用する走行体(ロボットはレゴ以外でも可)や、コースに設置された難所により異なっており、アドバンスクラスのほうが総じて難易度が高いため、エンジニアが中心となっているようだ。
それぞれの走行コースについて簡単に紹介しておこう。プライマリークラスもアドバンスクラスも、基本的に走行コースは同じだ。Lコース(左側)とRコース(右側)の2レーンがあり、対戦チームが交互に2回ほど各コースを走行する形でレースが行われる。
プライマリークラスでは、走行体に「EV3Way-ET」が推奨され、二輪の倒立振子ロボットがライントレースで自律走行しながら、階段やルックアップゲートなどの難所を攻略して、ゴール時間を競いあう。
一方、アドバンストクラスでは、走行体に「HachEV」が推奨されている。また難所コースには「ブロック並べ」や「ET相撲Neo」といった難しいゲームが設置されており、それらを攻略する必要がある。いずれもブロックの配置パターンは、毎回レースごとにランダムの抽選で決められる。
また新設のガレッジニア部門は、センサーとアクチュエーターを1つ以上使って、ワクワクするようなモノを10万円以内でつくるという以外に特に縛りはない。とにかく何でもよいので、面白そうなロボットやシステムのプロトタイプを、自由に開発するという創造性が重視される競技なのである。
以下、企業のエンジニアが多く参加しているデベロッパー部門のアドバンストクラスを中心に、レースの模様をご紹介しよう。
優勝はアドヴィックス、富士ゼロックス、日立アドバンストが続く
アドバンストクラスの難所は2つ。Rコースの「ET相撲Neo」と、Lコースのゲーム課題の「ブロック並べ」だ。ET相撲Neoは、ブロック置き場に配置された4色×各2個のカラーブロックを移動させるゲームだ。ブロック置き場の色と異なるブロックを土俵から落とす(押し出し)か、あるいはブロック置き場と同一色のブロックを土俵から落とさぬように移動させると(寄り切り)、それぞれボーナスタイムを獲得できる。
このほかにも駐車場にロボットを3秒間ほど完全停止するとボーナスタイムがもらえたり、走行タイムが限界値に近づくにつれ、より多くのボーナスタイムが得られる「韋駄天ボーナス」と呼ばれる特別なルールもある。
競技結果は、スタートからゴールまでの通過タイム(最大2分間)から、クリアした難所で得られたボーナスタイムを差し引いた数値で表される。つまり数値が低いほど、よい結果になるわけだ。以下、デベロッパー部門アドバンストクラス(総合)の結果を示す。
優勝:「HELIOS」(アドヴィックス)
準優勝:「@Mirai」(富士ゼロックス)
第3位 :「Team ASaGi」(日立アドバンストシステムズ)
競技で走行するロボットは、すべて自律走行であるため、ブロック並べやET相撲Neoなどの難所をクリアしてゴールまで辿りつくのは、かなりの技術力が問われる。新人の技術者が腕試しにチャレンジするには、とてもよい材料になるだろう。いずれのチームも白熱戦を展開したが、競技とモデルの双方で最も良い結果を出した「HELIOS」(アドヴィックス)が総合優勝を果たした。
また「@Mirai」(富士ゼロックス)は、特にモデリングに優れ、総合で準優勝に輝いた。両チームは優勝を含め、かつて上位に入賞した経験のある強豪チームだった。
個人的に特に印象に残ったのが、ブロック並べで最も得点の高い五角形を構成できた「Team ASaGi」(日立アドバンストシステムズ)だ。ブロック並べで五角形をつくったのは、このチームだけだった。彼らは総合第3位の位置につけた。
同チームは、要求から設計、実装に至るまでモデルもきちんと書かれており、高信頼性を達成する開発が評価され、IAP賞も受賞した。同チームのリーダーは「モデリングの際はシミュレーターを活用した。またチーム内でモデリングやプログラミング、ロボットへの実装などを各担当が分担していたので、プロジェクト管理ツールを導入することによって、うまく工程を管理できた」と工夫した点について教えてくれた。
【次ページ】プライマリークラス競技では学生が大健闘
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