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  • 2017/05/11 掲載

正しい「ブレスト」のルールと進め方、知っておきたい4つの原則

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「ブレインストーミング」という手法は、とても便利なものである。今日の日本社会においても広く普及しているが、その最も効果的な運用方法は、意外とあまり知られていないようだ。むしろ「ちょっとブレストに付き合ってくれませんか」というカジュアルな依頼から会議は始まって、実際には、なんの結論にも到達できない茶飲み話だった、なんていう弊害をもたらしている側面もある。筆者はそれを「ブレスト漂流型会議」と名付けたい。会議を漂流させず、遭難者にならないためには、有能な会議ファシリテーターの的確なナビゲーションが不可欠なのだ。
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正しいブレスト会議の方法とはいかなるものか?
(© kiko – Fotolia)


「ブレスト」という言葉の濫用にご用心

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 課題の所在があいまいで、ぼんやりした問題意識だけがある。組織には、時としてそんな状況が訪れることがある。

 解くべき問題があいまいなので、ひとりで悶々と考えていても前に進めない。とりあえず誰かと言葉を交わすことで、多少なりとも思考を具体化し、前に進めたい。そうした場合に便利なのがブレストだ。

 「ちょっとブレストに付き合ってもらえませんか」というと、なんとなくそれらしくて、会議っぽい。

 だがもちろん、ブレストは目的ではなく手段である。いざ安請け合いして会議室についていくと、お菓子でもつまみながら、コーヒーを片手に繰り広げられるのは、単なるグチ大会だったり、世間話だったりする。

 付き合わされるほうはたまったものではない。時間を返せという感じだが、主催者が大真面目で会議をやっているつもりになっている場合は、実に始末が悪い。

 組織の中には、ブレストを濫用する困った人がいる。彼は上席の人間から、目下の検討課題についての進捗状況について聞かれた時に、「まだブレストレベルなんですけど」なんて枕詞を使うことがある。

 たしかに、「進捗はどうか?」と聞かれて、「まだ何もまとまったアウトプットはありません」と応えるのは、組織人としてちょっとどうかというものだが、あたかも何も進んでいない現状を「ブレストしました」という言葉で誤魔化すというのは、それはそれでいかがなものか? と筆者はいつも疑問に思う。

 ブレストという言葉は、とても都合がいい。その都合の良さゆえに、本来の「ブレインストーミング」という方法論が、あいまいな言い訳のダシに換骨奪胎されているという側面がある。

 このことに意識的でない人は、永遠に「ブレスト会議」を意味あるものにすることはできない。この世にはあちこちに「ブレスト漂流会議」の遭難者が発生している。

正しいブレインストーミングの方法を知っていますか?

 ブレインストーミングという手法は、明確にメソッド化されているものだ。いくつかのルールを前提としたうえで、まさしく思考を紙なりホワイトボードなりに落とし込んでいく手法である。

 もちろん、さまざまなシーンに応じたローカルルールやアレンジはあるが、まず次の4原則を守らないものを、ブレストと呼んでいる人がいたら、それは会議を漂流に導くものだと見切っていい。

・発言の質ではなく、量を重視すること
・批判せず、粗野な考えを歓迎し、自由奔放な発言をすること
・いい発言があれば、そのアイデアを結合し発展させること
・ブレスト中に判断・結論を出さないこと

 ブレインストーミングとは、一人の人間の頭のなかだけで閉じた思考をしていると、どうしても生まれてしまう「思考の死角」を回避するための手法である。軽い気持ちで茶菓子を片手に好き放題お喋りするのとは、ワケが違うのだ。

 実際、この4原則をしっかり守ったミーティングをしようとすると、かなり厳密な事前準備が必要となる。そこで参考として、筆者がこれまで経験してきたブレインストーミング型の会議の経験から、4原則を守ってブレストを行うためのコツを紹介しよう。

・ブレストの目的を、事前に十分参加者に周知しておく

・発言の量についての目標を定める

・「ブレストの最中は、決して発言された内容の吟味や分析をやろうとしない」という原則について、実に注意深く事前に参加者に注意喚起しておく

・リアルタイムで発言内容を全員の前に提示する(Excel方眼紙、パワーポイント、ふせんなどを活用)

・一定量の「吐き出し」が達成され、これ以上発言が出てこなくなったときには、一旦休止をして、グルーピングをしてもよい。グルーピングをした結果、新たな発言のネタが思い浮かぶ場合は、もう一度出し切る。このサイクルを回して「これ以上発言ができない」状態に至るまで続ける

【次ページ】会議で意識すべきは「発散」と「収束」
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