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- 2015/11/02 掲載
2年弱で年商20億円!ネスレの「キットカット専門店」はこう生まれた
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マーケティングとは、顧客が抱える2つの問題を解決すること
「私が考えるマーケティングとは“顧客の問題を解決すること”であり、そこに我々の新しい価値が生まれる」
ネスレの中でマーケティングに取り組む時、高岡氏は顧客の問題を2通りに分けて考えていたという。それが顧客が既に“認識している”問題と、顧客がまだ“認識していない”問題だ。
「社内ではリノベーションとイノベーションという2つの言葉を使う。前者はいわば商品の改良であり、後者は革新的な新製品や新たなビジネスモデルを指す。顧客が認識している問題を解決するのがリノベーションであり、まだ認識していない問題を解決するのがイノベーションだ」
「リノベーションをすべて否定するわけではないが、それはすぐに競合他社に真似されてしまう。その意味で、いかに顧客のまだ認識していない問題を先に捉えて、それを解決できるかが非常に重要だ。まさにアップルやアマゾンがやったのは、そういうことではなかったか」
ここで高岡氏はネスレ日本におけるリノベーションの例として、ネスレのコーヒーブランド“ネスカフェ”のビジネスにおける取り組みを紹介した。
「お客さまが既に認識している問題、即ち簡単な消費者調査ですぐに出てくる問題として“インスタントコーヒーは嫌いだ”という声があった。その理由は“本格的なコーヒー(=レギュラーコーヒー)のようではないから”というものだ。この問題を突き詰めていくと、コーヒーの表面にできるクレマ(泡)が関係していた」
特に欧州ではレギュラーコーヒーは、機械で圧力をかけてコーヒーを抽出する方法がほとんどで、この時、上に必ずクレマができる。しかしインスタントコーヒーではクレマはできない。
「そこでクレマをインスタントコーヒーでもできるようにしようということで、コーヒーパウダーの中にガスを入れてお湯で溶かした時に上にクレマができるようにした。これがリノベーションの1つのプロジェクト。多くのお金をつぎ込んだが、売上の伸びと利益の向上にはそれほど貢献はしていない」
【次ページ】ネスカフェ アンバサダーはなぜ破壊的イノベーションなのか
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