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- 2015/01/07 掲載
マザーズ上場のU-NEXT 宇野康秀氏が語るUSENの失敗「1000億で人のつながりを買った」
起業家の持つ失敗力とは何か
ベンチャー企業経営に重要な「失敗力」とは何か
同氏によれば、失敗力とは「失敗を自身のアセットとし、失敗により蓄積したアセットをレバレッジして、将来の成功につなげる力」であるという。失敗で蓄積したアセット(資産)に対するリターン(ROA)をいかに高めるのかが、成長企業の経営には重要というわけだ。
同氏はセッションの議論を2つに絞って、登壇者に問いかけた。
まず1つ目の議論のテーマは「マインドマネジメント」だ。大きな失敗によってマイナスに落ちたとき、自身の気持ちをどう奮い起こし、維持してきたのだろうか。
USENでの失敗から復活を遂げたU-NEXT 宇野氏
その後の2年間で株式上場を果たして資金を調達できたものの、大型M&Aを繰り返していた頃にリーマンショックが起こる。子会社を含めて500億以上の損失が2年ほど続き、計1000億円を超える損失を出すことに。こうした状況ではリファイナンスも組めず、債務不履行寸前まで追い込まれた。
銀行からは法的整理に近い話も出て、葛藤のなかで身を切る思いで赤字部門のリストラを断行し、ダウンサイジングを進めた。宇野氏はUSENの状況について「現在は借入金もピークから10分の1ぐらいになり、あと2年ぐらいすれば返済できるぐらいまで回復した」と説明した宇野氏は、当時について以下のように振り返る。
「会社を整理していく際に、社員を切らなければならないことはもちろん辛いが、ちゃんとした道のりを見つけて幸福になってもらえば、それでもよいと思った。辛いのは、実は自分のプライドだけかもしれないとも思った。その一方で商売人の家に生まれ以上は、借りたお金は絶対に返す、そのプライドだけは持っていた。あとは体力がなければどうしようもない。皇居を走りながら体力をつけ、トライアスロンを始めたりした。自分のプライドを見つめ直すことが、マインドマネジメントになった」と当時の心境を打ち明けた。
【次ページ】危機に直面して、1000億円で人とのつながりを買った
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