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  • 2014/05/29 掲載

森川亮社長が語るLINE流イノベーション、お金か人か?利益かサービスか?

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最近では「イノベーション」という言葉が普通に使われるようになった。しかし、それを実現するのは並大抵ではない。ある意味でイノベーションは“クレージー”なものであり、誰もが信奉できるものではないかもしれない。しかし、この変化の激しい時代にイノベーションを起こさなければ、企業は生き残ることはできないだろう。世界で4億人のユーザーを抱え、快進撃を続けるLINEの森川亮氏が、企業内でイノベーションを阻む課題、イノベーションを実現する文化や環境づくりについて語った。

イノベーションの課題は企業の中にある

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LINE 代表取締役社長の森川亮氏
 LINEと言えば、いまや世界で4億人のユーザーを抱え、国内では知らない人はいないほどのコミュニケーションサービスになった。

 そんなLINEをスタートアップ時から引っ張ってきたのが同社の森川亮氏だ。LINEは当初、メール、無料通話、スタンプなどを提供するコミュニケーションツールだったが、いまではその領域を超え、ゲーム、電子書籍、広告モデル、eコマースなどのサービスを拡充し、プラットフォームとしての価値を提供している。

 LINEの立役者である森川氏は、一体どうやってイノベーションを進めたのか?

「課題は企業の中にある。イノベーションを進めるには、従来の文化を壊さなければならないからだ。最も重要な点は、破壊が本当に可能かということ。大企業とベンチャーで、どちらがイノベーションを起こしやすいかはあまり関係がない。社内変革を起こせる人材がいて、その環境があるかどうかがポイントだ」(森川氏)。

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 現在、成功している大企業にはメインの事業がある。新たに何かアクションを起こすときは、概ねそれらと真反対か、破壊するようなものが多い。森川氏は、「そうなると内部に抵抗勢力が起こり、説得に時間がかかる。ベンチャーのほうが小回りが利くかもしれないが、いずれにしても企業規模とは関係なく、早いスピードで価値を提供できることが重要だ」と説く。

 次にお金か人か? という話になると、森川氏は「お金がないからできないと聞く。もちろん資金がなければダメだが、やはりイノベーションを起こす鍵は人材だ。そしてキーマンには変わった人が多く、既存の文化や組織にそぐわないケースもある。そこでダイバーシティ(多様性)の中で彼らを受け止め、いかに仕事を任せられるか、それが必要な要素になる。その結果として、お金も付いてくるだろう」とした。

 また利益かサービスか?という観点では、「もちろんビジネスだから利益を生み出さねばならない。しかし、もっと大事な点は、ユーザーに価値を提供すること。大きな価値をつくるには時間がかかるが、まず利用者の価値を高め、そのあとに利益を出すことを投資家にも考えてもらいたい。経営者はユーザーの価値を最大限に高めることに集中すべきだ」(森川氏)。

 さらに技術かスピードか? という問題もある。「競争力をつけるには技術は必要だ。だが勘違いしてはいけない点は、それが本当に利用者に価値を生み出しているのかということ。特に技術畑の経営者は、技術を愛しすぎてこだわってしまう。いろいろチャレンジして資金を使い果たし、後発企業に優れた技術やサービスを奪われてしまう。大事な点は、差別化された技術を使って、潜在的に求められるニーズを顕在化させ、素早く価値を生み出すことだ」(森川氏)。

 では、LINEは企業として具体的にどういう戦略を立て、サービスを提供してきたのか? 森川氏の答えは意外なものだった。

【次ページ】LINE流イノベーションとは
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