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  • 2020/04/08 掲載

コロナショック終息後の「ものづくり復興計画」で検討すべき3つのポイント

【緊急連載】コロナショック復興計画

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新型コロナウイルスは依然として猛威を振るっています。同ウイルスとの戦いは長期化が避けられない状況で、当面は新型コロナウイルスとともに生き抜くことが求められるのではないでしょうか。本稿では製造業がコロナショックを生き抜くための復興計画について考えたいと思います。なお、本稿の内容はコロナショック終息を見据えて行動している複数企業との協議や勉強会などを参考にしたものです。
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「コロナショック」後を見据えなければならない
(Photo/Getty Images)

感染者数、世界で80万人超

 新型コロナウイルスは、昨年末頃から感染が広がったと言われていますが、わずか3ヶ月間でその猛威は世界に拡大しました。3月末現在で感染者80万人以上、死亡者4万人弱という人類史上かつてない感染症との戦いの渦中にあります。

 各国政府や有識者の言葉も当初は短期間で終息するという楽観的な見通しから、終息までには時間がかかるという深刻なメッセージへトーンが変わりました。

 皆さんが考える通り、新型コロナウイルスとの戦いが長期化するのは避けられないと思います。特効薬やワクチンが開発されて、あっという間にウイルスが一掃されるということはなく、当面新型コロナウイルスとともに生き抜くことが求められるのではないでしょうか。

 こうした状況を踏まえて、製造業がこのコロナショックを生き抜くための復興計画について考えたいと思います。

グローバル製造業のサプライチェーン再構築、3拠点体制の確立

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 新型コロナウイルスによる影響は、サプライチェーン分断という形で世界経済に大きなダメージを与えています。

 地域や産業によって差はありますが、中でも製造業への影響は甚大です。自動車や機械など製造業は、部品調達先としても市場としても中国と密接な関係にあるからです。

 日本経済新聞によれば、日本の自動車メーカー8社の2月の世界生産量は既に前年比15%減だそうです。3月に入って状況はさらに悪化していますから、この数字はまだ悪くなることが予想されます。

 製造業は、製品を生産して出荷しなければ売上を計上することができません。3月末に期末を迎える企業は、部品が揃わなくて製品を完成することができない状況です。この状況を打開するためにも、分断されたサプライチェーンをできるだけ早く再構築しなければなりません。

 グローバル製造業のサプライチェーン再構築ポイントは、次の3つです。1つずつ説明していきましょう。

(1)3拠点生産体制の確立
(2)クラウドERP/RPA連携、モバイル対応システムの整備
(3)データ駆動型バリューチェーン・ネットワークの構築

(1)3拠点生産体制の確立
 中国は世界最大の工業製品の生産地、すなわち「世界の工場」でありながら、約14億人の人口を抱える世界最大の市場でもあります。

 この事実を踏まえたグローバル製造業の戦略が“チャイナ・プラス・ワン”という考え方です。“プラス・ワン”とは、昨今の米中貿易紛争によって中国と米国間の貿易リスクを回避する目的で中国以外にもうひとつ生産拠点を構えるという意味ですでに多くの製造企業で進められてきていました。

 プラス・ワンの候補としては、アジア新興国のタイ、インドネシア、マレーシア、ベトナムなどがその候補としてあげられます。

 しかし、今回のコロナショックで直面したのがサプライチェーン分断という製造業にとって致命的な状況です。前述した通り製造業は製品を出荷しなければ売上を計上することができないため、たった1つ部品が届かなくても製品が完成できず出荷ができません。

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自動車にはおよそ3万点の部品が必要とされる
(Photo/Getty Images)

 注文した製品が届かなければ、お客さまは待てずに注文をキャンセルして入手可能な他社の製品へ乗り換えることになります。

 こうしたリスクを考えて、コロナショック終息後のサプライチェーンは“3生産拠点体制(日本:リスク回避型ノックダウン生産、中国:生産能力重視、アジア:中国以外の市場向けと中国工場の補完的役割を担う)”となります。

 日本のグローバル製造業は3生産拠点体制が再編の骨子になるということです。もちろん真っ先に取り組むべきは、国内生産拠点を速やかに稼働させることです。その理由は、短いサプライチェーンで製品を作れる体制を作るためです。

 製造業の本質は、ものづくりにあります。まず製品を確実に作れるということが、国内外の顧客と社員に対する復活の狼煙となります。

 コスト面では、中国やアジアの生産拠点には当然敵はいませんが、納期と品質は確実にコントロールできます。国内に生産拠点を置くことで、顧客や取引先に安心感を与えることにもなるでしょう。今必要なことは、ものづくりをあきらめないファイティングポーズを取って、その姿を見せることだと思います。

 もちろん、この国内生産拠点は利益面では主力になりません。そのため、生産能力や生産する製品のバリエーションを可変できるように考慮しておく必要があります。

 最も重要なポイントは、キーパーツは可能な限り内製化または国内調達ができること。それ以外のパーツは、必ず代替製品が柔軟に調達できるマルチサプライヤーを考慮すべきです。

 コロナショック以降のものづくり管理指標の1つとして、キーパーツの内製化/調達比率を加えるべきでしょう。この工場の存在目的は、企業としてどんな状況でも“ものづくりを止めないこと”にあります。

【次ページ】クラウドファースト、デジタルファーストの工場システム構築
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