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  • 2019/11/08 掲載

その厳しさに中高年が絶望、「シニア転職」に失敗する人の特徴とは?

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「老後も働くしかない」という諦めが中高年に広がりつつある。しかし、今勤めている会社がそのまま安泰かはわからない。今の時代、40代後半、50代で会社を移る「シニア転職」を視野に入れておく必要がある。しかし、その厳しさをリアルにイメージし、準備し、覚悟を決めている人は決して多くはないだろう。選考での思いがけないNG項目や世代間ギャップなど、想像よりも厳しいシニア転職の現状とは?
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シニア転職の厳しい現実、成功と失敗の分かれ目は
(Photo/Getty Images)

「老後2,000万円問題」で一番焦っている世代は?

 2019年、ビジネスパーソンの身近に起きた影響力の大きな話題の中に「老後2,000万円問題」がある。公的年金だけでは老後の生活資金として2,000万円が不足するというもので、特にミドルからシニアの人にとっては衝撃的だったに違いない。

 もっとも、「2,000万円が不足する」というのは誤解を招く表現で、生々しい数字が一人歩きしてしまったものだ。ただし、「年金だけでは暮らしていけない」「働けるうちは働かなくてはならない」という危機感は、しばらく前から既に持っていたという人も少なくない。

 しかし、急に焦り始めた人々が実際に増えている。

 70代の場合は、もはや焦りはないだろう。「減る」とか「少ない」とかは別として年金をもらっており、もう現役時代の仕事に距離を置いてしまっている。シルバー人材センターなどで何かしらの「老後の仕事」を見つけ、何かしらの「老後の人生」を始めている方が多い。

 「老後2,000万円問題」を一番深刻に受け止めているのは、50代、そして60代前半の人々だ。つまり、「これから定年を迎える」現役世代の人である。実際に2019年春以降、こうした人々の応募・問い合わせが、私たちが提供するシニア向けの人材紹介サービスでも急激に増えている。

 定年を控えた世代が焦るのも無理はない。仮に今勤めている会社で、定年が延長される、撤廃される、再雇用が制度化される──といったようにシニアの就業環境が改善されたとしても、「これまでと同じように勤められるか」はわからないのだ。

 日本の雇用の現場は、前例・慣例に支配されている。しかし、定年延長などの制度が本格化するのはこれからだ。もし、あなたが「会社で1人目の定年延長組」だったとしたら、何が起きるか不安で仕方ないだろう。すでに役職定年の制度で50代のうちから役職を外されたり、給料が下がったりしているかもしれない。60歳定年が“常識”だった旧来の制度や価値観では、70歳時点の給料やライフプランは描けないのである。

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50代以上の「転職」は簡単に成功するのか?

 そこで焦り始めた人々にとって、選択肢として浮かび上がるのが、ズバリ「転職」だ。今のうちにより給料の良い職場に転職できれば、貯金もできるし、将来給料が下がっても影響が少ないかもしれない。また、今より定年が長い職場に転職できれば、安心できる時間が伸びる。それも、既にシニアが活躍している実績のある職場ならば、「シニア社員第1号」として戸惑うこともないだろう。

 だが、そうした50代以上の「転職」の目論見は、簡単に成功するものなのだろうか?

 確かに深刻な人材不足を背景に、50代以上を採用したいという企業は急速に増えている。しかし、企業の多くが必ずしも「50代以上の人、どうぞこちらへ」という姿勢でないことは、50代以上の人自身が今、所属している会社でも体感していることだろう。

 社会全体が50代以上を歓迎しているならば、今所属している会社でももっと優遇されるだろうし、世の中にもっと50代以上の求人が溢れてよいはずである。しかし、現実には50代以上の求人を目にする機会はそう多くはないのだ。

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企業の採用意向
(厚生労働省「雇用政策研究会報告書 参考資料」をもとに作成)

 上記は、厚生労働省の雇用政策研究会報告書の参考資料として挙げられた「企業の採用意向」のデータである。中途採用の方針について、「35歳未満」では約95%の企業が採用に積極的である一方、年齢層が高くなるにつれ採用の積極性は弱まり、「35歳以上45歳未満」では「良い人材であれば採用したい」が最多になる。さらに45歳以上では「あまり採用は考えていない」が最多となっている。つまり、企業は50代以上のシニア層の採用にはかなり消極的であることがわかる。

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転職希望者に対する転職者の割合(2017年)
(厚生労働省「雇用政策研究会報告書 参考資料」をもとに作成)

 また、上記は、同じ参考資料内で挙げられた「転職希望者に対する転職者の割合(2017年)」のデータだ。年齢別に転職を希望する者の割合(転職希望者)に対する実際に転職を経験した者(転職者)の割合がわかる。これによると、35〜44歳の層、45〜54歳の層において、実際に転職した割合が低い傾向にあることが見えてくる。特に45〜54歳の層は、35〜44歳の層に比べても実際に転職した割合が低い。50代の転職は希望しても転職の成功が難しいことがわかる。

 要するにシニア層の転職市場は、いまだに「圧倒的な買い手市場」なのだ。50代以上の人材が転職しようとした場合、若い世代とは異なる厳しい状況に晒されることを覚悟しなければならない。

50代以上と若者、それぞれの転職に対する悩みの違いは?

 筆者自身、これまで多くのシニア層の方の転職を支援してきたが、かなりの数の人が若いころとは異なる転職の悩みを抱えている。

 たとえば、「有資格者であれば、年齢が上がってもある程度は有利に転職ができる」と思うかもしれないが、資格があっても若いころのようにはいかなくなる。

 確かに国家資格には更新のあるものは少なく、本人が元気でやる気がありさえすれば「生涯現役」という場合もある。実際、シニア層の求人が急増している職種もある。施工管理技士や税理士、薬剤師、自動車整備士などだ。しかし、「これらの資格を持っていれば50歳以上でも転職に困らない」ということではない。

 シニア層は圧倒的に「即戦力」が求められる。これまでのスキルや経験を根掘り葉掘り聞かれ、少しでも企業が求める人物像と違うと判断されたならば、不採用の通知が届いてしまうのだ。

 ここで1つ、問題を出してみよう。

 50代以上の方が転職をしようとした場合、次のどのポイントが、最も大きな関門となっているのだろうか?

(1)書類選考
(2)面接
(3)役員選考
(4)入社後のズレ

 皆さんはどれが正解かお分かりだろうか。

【次ページ】50代以上が採用されない意外な落とし穴
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