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- 2024/11/19 掲載
建設業の「2024年問題」のその後、働き方改革は進展した?明らかになった新事実
物流・建設業界で残業上限規制が開始
「2024年問題」とは、物流・運送・建設・医療といった業界において、時間外労働の上限規制が適用されることを指す。しかし、これらの業界だけが規制の対象外だったわけではない。
実際、その他の業界では、すでに2019年4月に施行された働き方改革関連法により、月45時間、年間360時間、36協定で特別条項を定めた場合は年6カ月で年間720時間という時間外労働の上限が設けられている。物流・運送・建設・医療の業界には、他業界よりも猶予が与えられていただけなのだ。
その猶予が2024年3月末で切れ、建設業では災害時の復旧・復興を除いて、他の業界と同じ規制が適用される。また、物流・運送業のドライバーには年間最大960時間といった時間外労働の上限規制が開始された。
しかし、規制前のこれら業界・職種では、上限以上の時間外労働が常態化していたため、この状況下で厳しい規制が行われた場合、事業・サービスの停止や遅延、従業員の大量雇用による赤字、さらには廃業・倒産が発生する懸念があった。
物流・運送業では原材料や製品の輸送停止、輸送コストの上昇が製造業や小売業へ影響を与える可能性がある。建設業では工事の遅延や長期化が発注者に与える影響も避けられない。このように、規制の影響は業界内にとどまらない。本来は、業界内の働き手を守り、より良い働き方へと変えていくための規制であるが、さまざまな声が上がっている。
意外と休日が多め、建設業界におけるシニアの働き方
4月の規制開始から半年以上が経過した今、建設業界は時間外労働時間の抑制に成功しているのだろうか。こうした建設業界の2024年問題の対応状況を調べるため、私たちが提供するシニア専門求人サイト「シニアジョブ」に掲載されている建設業の求人の、休日や残業時間に関する項目を調査した。
結論を述べると、調査を行った2024年9月9日時点での建設業のシニア向け求人は、他業種の求人と比較して休日が多い傾向にあった。2024年3月以前の数値を計測していないため、これが2024年問題に対応して急速に改善されたものとは断言できないが、建設業界全体で対応が進んでいるといえる。
しかし残念ながら、「残業なし」あるいは「月平均20時間以内」の求人割合は、求人全体に比べると建設業の求人では低い。ただし、「残業なし」や残業が「月平均20時間以内」であれば時間外労働の上限よりも大幅に少ないため、大きな問題はないといえる。
具体的な数字を述べると、2024年9月9日時点でシニア専門求人サイト「シニアジョブ」に掲載された求人全体では「年間休日120日以上」が8.3%、「土日祝休み」が9.6%、「残業なし・月平均20時間以内」が74.8%であった。これに対し、「建築・土木・建設」のカテゴリーに絞った求人では、「年間休日120日以上」が20.2%、「土日祝休み」が29.9%と建設業での割合が圧倒的に高く、「残業なし・月平均20時間以内」は40.4%と低くはあるものの、40.4%であればさほど低いとはいえない。
では、詳しい職種別の動向を見てみよう。 【次ページ】建設業界におけるシニアの職種別求人傾向
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