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- 2024/09/25 掲載
「介護職」2040年に「57万人」不足の深刻、現場で起きている悲痛な実態
2040年には57万人の介護職が不足
7月12日、厚労省が公表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」の中で、将来の介護職員の必要数が示された。2040年度には約272万人の介護職員が必要となり、2022年度時点で約215万人いる介護職員の数との差が約57万人にも上るという。ちなみに、2年後の2026年度時点でも約240万人の介護職員が必要であり、約25万人が不足する可能性がある。16年後の57万人不足も厳しい数字だが、わずか2年後の25万人不足は、かなり絶望的な数字に思える。
資料内にある「介護保険事業計画」では、市町村の介護保険サービスがどれくらい必要かを推測している。介護保険法に基づいて市町村が定める計画で、介護保険の給付を円滑に実施することを目的としている。
都道府県ごとの集計を見るとやはり、大都市を擁する都道府県ほど、将来必要な介護職員の数が膨大だ。一方、地方で必要とされる介護職員数は少ないが、それでもその職員数を確保するのは難しい。
右肩上がりで増える要介護者
介護職員の不足は、「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」で初めて発表されたのではなく、過去の「介護保険事業計画」に基づいても指摘されていた。実は今回の「第9期」の介護保険事業計画に基づいて示された介護職員の必要数は、2023年に発表された「第8期」のデータよりも少なくなっている。「第8期」のデータでは、2026年度は約243万人、2040年度は約280万人が必要とされていた。これが「第9期」では、先のとおり、2026年度は約240万人、2040年度は約272万人が必要といずれも必要な介護職員数が減っている。その差は、2026年度で3万人、2040年度で8万人となる。
また、「介護職員数の推移」という資料によると、2000年の要介護(支援)認定者数244万人・介護職員数54.9万人の時代から、要介護(支援)認定者数697万人・介護職員数215.4万人の2022年まで、介護職員数は要介護認定者数を追うようにどちらも右肩上がりで伸び続けている。
介護職員数が要介護(支援)認定者数に対して何割程度なのかを見ていくと、「介護職員数の推移」のグラフで最も古い平成12年度(2000年度)は、介護職員数は要介護認定者数の22.5%、最も新しい令和4年度(2022年度)は30.9%となっており、おおむね年々、要介護認定者数に対する介護職員の数が増えている。
要介護認定者の増加に合わせて、単純に同程度の割合の介護職員数を維持しているだけではなく、不足する介護職員数を補うために、国や市町村、そして現場の施設やサービスなどが努力している結果が表れているのだと思われる。しかし、そもそも増え続ける要介護認定者に対して必要な介護職員数を確保することは可能なのだろうか。 【次ページ】介護職員数を確保することは可能?
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