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- 2024/04/23 掲載
低賃金&ブラック労働の終焉?!「育成就労」で技能実習の闇は一新されるか
「技能実習制度」のこれまで
まず、技能実習制度とは何か振り返ろう。技能実習制度は1993年に制度化された。そもそもの制度目的は、技術移転などの国際協力だった。労働力としての外国人材の確保ではなかったのだ。
しかし、実態は労働力確保の目的が強く、実習生が法律上労働者として守られず、劣悪な環境で低賃金で働かせられることがあった。そのため、度々制度が改正されてきた。
こうした背景から2019年には特定技能制度が開始した。特定技能は技能実習とは異なり、最初から労働力確保を目的とした制度だ。ただ、技能実習は廃止されず、残された。
特定技能は技能実習のステップアップ先で、特定技能における在留資格を得る外国人の多くが実習生からの移行である。
閣議決定した「育成就労制度」とは何か
育成就労制度が誕生すれば、特定技能へのステップとなっていた技能実習が完全に消え、育成就労制度に置き変わる。これによって技術移転による海外協力という目的はなくなり、労働力確保を目的とした制度で統一される。後述するが、業界・職種は特定技能制度と同じになる予定だ。制度名のとおり、人材育成を重視し3年間で海外人材の特定技能1号の水準への育成を目指す。
また今回の改正では、在留許可制度の見直しも盛り込まれる。育成就労制度によって永住許可を得る外国人の増加が見込まれるため、外国人が故意に税金の未納や滞納を繰り返した場合などに、永住許可を取り消すことができるようにする。
改正案は3月15日に閣議決定・国会提出され、新制度の開始は2027年度を見込んでいる。さらに、移行期間を2030年度まで設けるという。これは、新制度開始までに受け入れた技能実習生が実習期間を終える3年間、現行制度どおり在留できるようにするためだ。 【次ページ】もっと詳しく、育成就労制度と技能実習制度はどのように異なる?
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