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- 2024/02/14 掲載
「給与未払い」の人材会社が倒産、2015年以降最多…なぜ?止まらない悪循環
人件費高騰と価格転嫁難で増加する人材派遣会社の倒産
2023年12月、派遣社員への給料未払いなどのトラブルのあった人材派遣会社が破産に至ったというニュースがあった。厳しい経営環境に置かれた人材派遣会社が増えている。帝国データバンク「2023年 11月報」によると、人材派遣業の倒産が2023年1~11月までに72件発生し、2015年以降で最多だったという。倒産が増えた背景については、「人件費高騰」と「価格転嫁難」としている。
少子高齢化と人口減少による慢性的な人手不足、さらに物価上昇と政府が主導する賃上げの動きがあり、人件費が高騰している。採用の場面で高めの給与を提示しなければ人材が集まらない一方、特に中小企業は、人件費が上昇した分を商品・サービスの価格に転嫁しきれずにいるのだ。
2022年度に「増収」であっても収益が「減益」した人材派遣会社が38.7%にのぼった。また、100円のコストアップに対し約33円分しか価格転嫁できていなかった。
人材派遣会社にとどまらず増加する中小企業の倒産
ただ、業種に限らず企業の倒産は増加している。前述のとおり人件費高騰分を価格転嫁できないことで赤字になり、新規採用や人員の維持ができずに事業の継続が困難になっているのだ。前述の帝国データバンク「2023年 11月報」によると、2023年の全業種の倒産件数は19カ月連続で前年同月を上回り、2023年全体の倒産件数も2019年以来4年ぶりに11月時点で7500件を超えたという。
人材派遣会社は、ほかの企業が受ける影響を自社でも受ける上に、さらに派遣先企業が不況であればその影響も受けやすい。そのため、より複雑で厳しい状況となる。 【次ページ】人材派遣会社の倒産のキーとなる「二極化」と「優先順」
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