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- 2023/11/14 掲載
岸田内閣「企業年金改革」の2つの狙いとは、何がどう変わる?とるべき対策も解説
50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。
岸田総理が企業年金改革を表明、どのような影響がある?
このように老後の資金や働き方に関する政策は目まぐるしく変化しており、加えて確定給付企業年金(DB:Defined Benefit Plan)についても改革を進める方針が示された。
そもそも確定給付企業年金とは、企業が福利厚生の一環として、公的年金に上乗せして受け取れる年金制度を従業員に提供する仕組みの1つ。従業員が老後に受け取る給付額をあらかじめ決め、運用成果で受け取る額が変動しないものをいう。政府は確定給付企業年金について、これまで非公開だった運用成績を一般公開することを検討しているという。
公的年金の年金積立金の運用や、企業年金でも企業型確定拠出年金(企業型DC)、個人型確定拠出年金(iDeCo)などは運用成績が公開されている。確定給付企業年金で運用成績が公開されることも大きな問題がないように感じるが、公開されることでどのような影響があるのだろうか。
確定給付年金、企業型確定拠出年金、個人型確定拠出年金とは
まず、企業年金である確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(企業型DC)、これらと関連性が強い個人型確定拠出年金(iDeCo)について解説する。企業型確定拠出年金(企業型DC)、個人型確定拠出年金(iDeCo)にある「確定拠出」は、「拠出額(掛け金額)が決まっている」という意味だ。つまり、毎月同じ金額の掛け金を出していき、それを運用した結果によって、将来受け取る年金額が決まる、というものだ。
企業型ならば企業が掛け金を出し、労働者がその資金で運用する金融商品を選ぶ。個人型は、金融商品を選ぶのも掛け金を出すのもどちらも労働者個人だ。労働者個人が選ぶのだから、その運用状況が公開されるのも当然である。
一方、確定給付企業年金(DB)は、企業が掛け金を出し、企業が運用して、労働者は将来決まった額の年金を受け取るというもの。「確定給付」とは、「将来、給付される(受け取る)年金額が決まっている」という意味だ。
確定給付企業年金で決まっていないのは掛け金である。つまり、運用成績がマイナスの場合は企業が補塡(ほてん)する必要があるのだ。
ちなみに、2020年には受給開始年齢の選択肢が、60~65歳から60~70歳へと拡大している。 【次ページ】確定給付企業年金の運用成績公開の2つの目的
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