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  • 2024/07/25 掲載

フリーランス209万人に影響、「フリーランス新法」で偽装問題に終止符?

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2024年11月に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、通称「フリーランス新法」が施行される。この法律は、これまで明確な定義や保護が定められていなかったフリーランスを保護する目的がある。この施行に合わせ、ほかにもフリーランス保護に関する動きがある。その1つが「偽装フリーランス」に関するもの。偽装フリーランスとは、労働者と変わらない働き方をしているにもかかわらず、企業が社会保険料や労働基準法の適用を避けるために、フリーランスとして業務委託契約を結んでいる状態のことを指す。これらの動きは本当にフリーランスの働き方の改善につながるのだろうか。
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有業者のうち本業がフリーランスの数は209万人。厚労省のデータによると2023年度の1年間で偽装フリーランスは153人いたという
(Photo/Shutterstock.com)

「フリーランス」と「労働者」の違いとは

 そもそも労働者とフリーランスにはどのような違いがあるのだろうか。

 労働者とは、企業と雇用契約を結んだ人である。従業員や被雇用者といった表現と同じ対象で、正社員やパートタイマー、アルバイトなども労働者に含まれる。

 対して、フリーランスが企業と締結するのは、業務委託契約だ。これは、民法上の「請負契約」や「準委任契約」に該当する。

 契約形態の違いに加え、指揮監督関係も労働者とフリーランスは異なる。一般の会社のイメージのとおりだが、労働者は就業規則や上司の指示に従わなければならない。言い換えると、労働者は企業から指揮監督を受ける立場だと言える。

 フリーランスは企業から指揮監督を受けない。業務の遂行方法や時間、場所などについてはフリーランス自身で自由に決めることができる。

 また、結ぶ契約が異なることと関連するが、労働者とフリーランスでは、適用される法律にも違いがある。

 労働者は、労働基準法をはじめ、労働契約法、最低賃金法などが適用されるが、これらはフリーランスには適用されない。フリーランスにはこれまで、独占禁止法や下請法が適用されていたが、それに加えて2024年11月1日より「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法)が適用されるようになる。

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日本の労働者の保護は手厚いと言われている。逆に、労働契約が交わされず、労働関連の法律で守られていないフリーランスの保護は弱いと言えるだろう
(Photo/Shutterstock.com)

フリーランスの弱い立場につけ入る「偽装フリーランス」

 このようなフリーランスの弱い立場につけ入る1つの形が「偽装フリーランス」であると言える。そこで、明確にフリーランスを守るために誕生した法律が「フリーランス新法」だ。

 実は、法律上フリーランスは明確な定義がない。「フリーランス新法」では、フリーランスではなく「特定受託事業者」と呼ばれ、次のいずれかに該当する事業者が「特定受託事業者」とされる。

  • 従業員を雇用していない個人事業主
  • 代表者以外に役員がおらず、従業員も雇用していない法人

 つまり、従業員を雇用している個人事業主や法人は、フリーランスには該当しない。個人事業主と呼ばれる立場でも、弁護士や税理士などは従業員を雇用している場合があり、そうした場合はフリーランスに該当せず、反対に株式会社でもいわゆる「1人社長」で社長以外には誰もいない会社の場合はフリーランスに該当する。 【次ページ】なぜ企業は「偽装フリーランス」を行うのか?

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