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- 2024/01/15 掲載
タクシー業界猛反発、「ライドシェア解禁」は本当にうまくいくのか…4つの課題
タクシー業界が猛反発のライドシェア解禁
2023年12月20日に開かれた「デジタル行財政改革会議」で、一般のドライバーが自家用車を使って有償で旅客を運ぶ「ライドシェア」を2024年4月に一部解禁することが決定した。ライドシェアはこれまで、「白タク」行為として禁止されていた。本題は長らく議論されていたが、2023年8月に菅 義偉前総理が解禁を求めた講演を行って以降、急速に解禁の流れが強まった。菅前総理の講演などでも触れられた解禁の背景には、タクシー業界の人手不足、地方の過疎化、インバウンド対策がある。
一方で反対の声も根強い。意見の中で多いのはドライバーと旅客間の強盗、性犯罪の発生への懸念だ。
タクシー業界は猛反発している。これまでコストをかけて乗務員を確保、教育、管理してきたことがムダになる懸念を持っているためだ。
実際、働き手となる一般ドライバーは集まるのだろうか。現在の報道でライドシェアが解禁された場合、ドライバーとして参加したい、したくないといった声が取り上げられることは多くない。一般ドライバーが「割に合わない」と感じ、働き手が集まらなければ解禁の意味がないだろう。
ライドシェアの運用方法の3つの要点
ライドシェアはどのように運用されるのだろうか。「デジタル行財政改革会議」の資料、「デジタル行財政改革中間とりまとめ」などを中心に要点をまとめると、次の3点が挙げられる。既存のタクシー会社の枠組みの中で、一般ドライバーが働くようなイメージに近い。- 運行管理などはタクシー会社が行う
- ドライバーは雇用契約に限らない
- 都市部を含め、タクシーが不足する地域・時期・時間帯が対象
ライドシェアの車もタクシーと同じアプリで配車依頼し、料金もタクシーと同じである。運行管理以外にも、ドライバーの教育、車両整備、運送責任などもタクシー会社が行う。
さらに、日本全国で解禁されるのではなく、配車アプリのデータを分析し、タクシー不足のエリアや時間に限定して解禁されるという。都市部は明記されているが、地方はたとえば休日の観光地などといった限定がありそうだ。
思った以上に限定的な解禁となるが、その後もタクシー会社以外によるライドシェアの議論を進めるという。また、今回の「デジタル行財政改革中間とりまとめ」では、ライドシェア以外にも、タクシードライバーになる第2種免許の教習や試験の緩和や、すでに過疎地域で行われているライドシェアに近い制度を改正することも盛り込まれている。 【次ページ】ライドシェアの4つの課題点
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