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  • 2023/12/19 掲載

500万人に影響、雇用保険の加入要件緩和で大改悪?批判の声が止まらないワケ

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2023年11月下旬、雇用保険の加入対象の労働時間を「週20時間以上」から「週10時間以上」に緩和する検討が進んでいるとの報道があった。目的は、これまで加入対象でなかった短時間労働の人にも、失業給付金や育児休業などのセーフティーネットを広げることだ。しかし報道を受けて、インターネット上ではさまざまな批判の声が上がった。たとえば、「雇用保険に加入しても、失業給付金がもらえない矛盾が発生する」など。実際にどのような影響があるのだろうか。
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緩和されれば新たに約500万人の加入が見込まれる
(Photo/Shutterstock.com)

そもそも雇用保険とは何か

 まず、雇用保険とは何なのかについて説明する。

 雇用保険は、失業や雇用継続に備えるための社会保険制度の1つだ。保険料は失業給付金と育児休業給付金の財源である。労働者と雇用主(事業者)が負担するほか、国費も投入されている。

 もともとは戦後すぐに「失業保険」の名で開始し、失業者対策のみを行う制度だった。その後、1974年に「雇用保険」の名となり、その前後から失業の予防や雇用の促進、そして、1995年には育児休業や介護休業の給付金の内容も含まれるようになった。

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政府による強制保険制度である雇用保険
(Photo/Shutterstock.com)

実は“ステルス増税”で負担が重くなっている

 雇用保険の加入対象も徐々に範囲が広がっている。今回の議論の前にも、パートは段階的に雇用保険を含めた社会保険の対象となりつつあった。

 実際、2016年10月より前は、フルタイムの従業員の3/4以上の週労働時間のパートが社会保険の加入対象だったが、2016年10月からは従業員数501人以上の企業のパートが加入対象となった。

 2022年10月からは段階が細かくなり、従業員数101人以上の企業のパートが対象となり、2024年10月には従業員数51人以上の企業のパートが対象となる予定だ。このほか、2022年10月に、5人以上を雇う弁護士や税理士の個人事務所のパートも対象となっている。


 年金保険、医療保険や介護保険など、雇用保険以外の社会保険にも共通することだが、保険類は役割が拡大、手厚さを増すごとに、その保険料の負担率も増す傾向にある。

 雇用保険加入要件の緩和の検討が報じられた際、インターネット上で批判の声が大きかった背景には、加入対象や負担の増大が続いてきたことがあるのではないだろうか。

 ちなみに、社会保険料負担の増大は、増税とは別ながら強制的な加入と保険料徴収が伴うことから、「ステルス増税」の1つにも挙げられている。 【次ページ】雇用保険料を払っても失業給付金がもらえない?
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