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建設業界におけるシニアの職種別求人傾向
建設業の中でも職種によって傾向が異なる。直接作業に従事する現場作業員や重機オペレーターの求人と、直接作業に従事しない建築施工管理や建築設計の求人では、違いがあるのだ。
現場作業員や重機オペーレーターの休日が多い求人の割合が低いが、残業が少なめの求人の割合は比較的高い。一方、建築施工管理や建築設計の求人では休日が多い求人の割合は高めだが、残業が少ない求人はそれほど割合が高くない。
具体的な数字を見ると、「土日祝休み」の求人は、現場作業員の求人では7.4%、重機オペレーターの求人では3.5%にすぎないが、建築施工管理の求人では32.5%、建築設計の求人では43%と、建設業の求人全体よりも高い割合を示している。
反対に「残業なし・月平均20時間以内」の求人を見ると、現場作業員の求人では43.3%、重機オペレーターの求人では48.8%と、直接作業に従事する職種では建設業の求人全体の割合を上回っている。建築施工管理の求人では39.5%、建築設計の求人では36.6%と低めである。
現場職種で残業が少ない求人が多く、技術職では休日が多い求人が多い背景には、余裕のある人員体制で残業時間を減らしやすい現場職種と、相対的に人数が限られ残業が増えがちな技術職という差があると考えられる。
また、施工管理技士が配置される主任技術者などの配置技術者は、必ずしも現場に常駐する必要がなく、休暇を取ることも可能である。そのため、現場での稼働が求められる現場作業員や重機オペレーターよりも、休日が多い求人が多くなると考えられる。
建設業界全体にも働き方改革は広がるのか
今回の調査結果で、想像以上に残業の少ない求人や休日の多い求人の割合が高かったことは、建設業界において多くの企業が2024年問題に対応した働き方へシフトしていることを示していると考えられる。
特に、「残業なし・月平均20時間以内」の求人は建設業全体で40.4%を占めており、これは2024年問題で話題となっている年間720時間の時間外労働時間の上限から大幅に少ない。このことから、上限に近い基準で対応している企業を含めた平均値を算出しても、そこまで長い時間にはならない可能性がある。
ただし、今回の調査結果は当社のサービスに掲載された求人データに限られる。また、求人情報と実態が異なる企業まで考慮したものではない。建設業界内において2024年問題に対応できていない企業がまだ多く存在している可能性も否定できない。
また、当社のサービスがシニア専門の求人サイトであることから、建設業界全体で労働者への配慮や法令遵守が進んだ結果、シニア求人にも短い残業や多い休日の条件が波及した可能性がある。一方で、シニアを積極的に採用する企業であるがゆえに、特に労働者への配慮や法令遵守の意識が高い企業が多い可能性も考えられる。
現在、残業が短く休日が多い求人が増えていることは喜ばしいが、今後、建設業界内で取り残される企業がないか、あるいは企業の負担が過剰にならないかについては注視が必要である。
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