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前回は「AI-Ready」な組織になるために、成功体験の積み重ねと組織を啓蒙する伝道師の必要性、そして最初の一歩としてデータの整備について解説した。今回は、データドリブンプラットフォームとは何か、なぜそれが必要なのか、どのように構築していくのかについて、当社(mynet.ai)の取り組みを踏まえながら紹介する。
mynet.ai COO 中元 正也、CTO 野濱 哲也、CEO 梅野 真也
mynet.ai COO 中元 正也、CTO 野濱 哲也、CEO 梅野 真也
【mynet.ai】
マイネットグループの1社で、データ分析・AI(人工知能)活用サービスを提供するテクノロジーベンチャー。オンライン社会の”自動運転”により、その社会にいる人たちがより幸せになるサービスを生み出していくことを目指している。
【マイネットグループ】
コミュニティの永続発展をミッションに掲げる「オンライン時代の100年企業」。現在は国内最大数のオンラインゲーム運営を行うゲームサービス事業を主に営んでいる。多数のゲーム運営で蓄積されたビッグデータに基づくノウハウやAI基盤を活用することで、ユーザーの皆さまが長くワクワクできる「10年空間」の実現を目指している。運営ゲームタイトル数38タイトル(2019年3月時点)。
「データドリブンプラットフォーム」とは?
今回のテーマである「データドリブンプラットフォーム」が何を指すのかをまず説明しておきたい。
データドリブンプラットフォームとは、データドリブンな意思決定をする上で必要となるプラットフォーム基盤を指す(注)。それはビジネスの最前線で日々意思決定を求められる人たちが必要なデータに簡単に、それも時間も場所も問わずアクセスできるものでなければならない。
(注)世間一般の定義があるわけではなく、mynet.aiが使っている呼称である。
また、データの取り扱いの高度な技術や知識が求められる一般的なデータベースとは異なり、データドリブンプラットフォームは非エンジニアでも容易にデータを活用できることや、データリテラシーが高くない人に対しても、事業やサービス運営の業務に役立つような指標がわかりやすく提供できる必要がある。
当社ではデータドリブンプラットフォームとしてDomoを使っている。組織内のあらゆるデータを収集し、業務支援のための指標をカスタマイズでき、ユーザーはそのダッシュボードにアクセスさえすれば、いつでもどこでも業務やビジネスの意思決定に必要な指標を簡単に確認できる。その基盤の上にビジネスが動いていくようなプラットフォームであり、データドリブンな組織文化を根付かせるために必要不可欠な仕組みである。
こうしたプラットフォームを構築するには、前提として
第1回で述べたデータの整備ができている必要がある。ただ、場合によってはデータの整備には長い時間がかかるので、構築と並行して進めることもできる。では具体的にその方法を見ていこう。
まずは必要な予算を確保する
データドリブンプラットフォームの構築にかかる費用は、社内に蓄積されているデータ量や企業規模によっては数千万~数億円の大規模な投資になる。まずはそのための予算を確保しなければならない。
そのためには、経営陣の理解と支援が必要だ。説得にあたっては、スモールスタートでプロトタイプ開発し、データを可視化することで意思決定にどう役立つのかを具体的に示すことが有効だ。
予算を確保できたら、実際に構築を進めよう。
デジタルトランスフォーメーションのためのロードマップ
データサイエンティストやIT部門がよかれと思いプラットフォームを用意したが、ビジネスの現場である事業部では使われない。よく聞く失敗談ではないだろうか。プラットフォームを組織に根付かせるためには、デジタルトランスフォーメーションの組織変革を含めたロードマップの策定が重要となる。
当社では、次のような流れでロードマップ策定をしていった。
1.「なぜデータドリブンプラットフォームを構築するのか」に対する回答を用意した
(a)データドリブンな意思決定が行われていないことにより発生する課題を抽出
(b)データドリブンな意思決定になることで“a”の課題がどのように解決されるのかを定める
2.データドリブンプラットフォームの構築をどのように実現していくかをブレークダウンした
3.最もスムーズに構築できるように、ブレークダウンした作業項目の実施時期をスケジューリングした
なお、ロードマップには、データドリブンプラットフォームの構築だけではなく、ユーザーである社員のデータリテラシー向上をどのように進めるかという視点も取り入れておこう。
ユーザーのデータリテラシー向上では、導入後の教育やサポートとして、データへのアクセス方法などの基本的な説明から、データの解釈、ドリルダウンによるデータの深掘りなど実践レベルのトレーニングを行う。
最初は利用者を経営層や管理職、データに強い社員に絞りトレーニングを行うことで知見をためてもらい、徐々に裾野を拡大していくと良いだろう。データドリブンプラットフォームがビジネスに直結する意思決定に役立つことを組織の上層部から理解してもらえれば、現場にも定着しやすくなる。
【次ページ】プラットフォーム構築の流れ、見るべき3つの指標とは?
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