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- 2023/09/20 掲載
金融データ活用推進協会が教える「金融AI」、業態別の成功パターンまとめ
一般社団法人 金融データ活用推進協会(FDUA)は、「金融データで人と組織の可能性をアップデートしよう」というミッションを掲げ、金融業界の実務者が集まり、業界全体のAI、データ活用を推進することを目標に活動するコミュニティです。
そもそも金融データとは
金融業界において、顧客の口座情報はもちろん、クレジットカードの利用履歴や株式市場などの取引データ、経済指標や金利など日々発生、収集されるデータが多岐にわたって存在しています。金融機関では、従来からこのような金融データを活用した意思決定業務が行われてきました。「財務情報から審査担当が貸し倒れリスクを判断して融資判断を実施する」「顧客のそれまでの取引履歴を元に担当営業が金融商品を提案する」など、データを活用した意思決定業務は他の業界と比較しても多く、業務適用との相性が良いことがわかります。
これまでも、金融データの活用は金融業務への重要な役割を担ってきましたが、ChatGPTに代表される生成AIの台頭によって、今後その活用の幅は更に広がりを見せることが考えられます。
金融業務のAI活用 ~7つの成功パターン~
金融業界では意思決定の業務にデータを活用してきたと記述しましたが、いずれの業務も目的に従って担当のスペシャリストが知識と経験から判断することになります。この判断の基準がある一定の規則性を持つことになるため、データから意思決定を行う金融業務においてはAIが広く活用されています。その中でも、金融業務におけるAI活用事例は大きく7つに分類できます。
・ターゲティングAI
マーケティングや営業活動で広く利用されています。顧客情報や購買履歴を基に、特定の商品やサービスに興味を持ちそうな顧客を特定することによって、個別のニーズに合わせた提案やアプローチが可能です。
・価値算出AI
不動産や保険の支払額といった、価格設定が複雑な領域で利用されます。データが十分に揃っていれば、専門家の判断や市場の動向を学習データとして取り入れ、不確定な価値を迅速かつ正確に算出することができます。
・需要予測AI
取引量予測や預金額の予測を基に運用金額を決める業務で利用されます。また、リースのように物理的なものを扱う分野やコールセンターの需要予測など、オペレーション周りでも利用されることが多いです。需要予測を正確に行うことで、供給や発注の精度を上げ、不要なコスト削減だけでなく機会損失の発生を防ぐことにもつながります。
・不正検知AI
マネーロンダリング、カードの不正利用、保険金の不正請求など金融機関では切り離せない不正対応業務で利用されている。トランザクションごとの不正リスクをスコア化し、より危険なアカウントやトランザクションの調査に集中できます。
・審査AI
銀行における融資、カード入会審査や保険の引受などで利用されている。過去の実績やデータを基に、専門家が財務諸表などから判断していた審査をサポートし、効率的な意思決定を実現できます。
・テキスト分類AI
金融業務において大量にチェックする必要のある報告書などの書類やニュースをおおまかに分類することに利用する。FAQでの精度向上による顧客体験の向上や業務の高速化につなげられます。
・画像認識AI
金融業務では主に手書き文字分野で利用することが多々あります。免許証などの画像データも存在するが、外見を意思決定に加えてしまう差別的なAIにつながる可能性があるため、基本的には紙の書類をデータ化する分野での活用が多くなります。
成功パターン | 活用例 |
1. ターゲティング | 営業ターゲティング、解約予測、督促順位付け、DM送付の抽出、LTV分析 |
2. 価値算出 | 不動産物件価値予測、企業価値評価予測 |
3. 需要予測 | コールセンター需要予測、来店予測、住所変更予測 |
4. 不正検知 | 疑わしい取引検知、不正申込検知、カード不正検知 |
5. 審査 | 貸倒予測、延滞予測、死亡率予測 |
6. テキスト分類 | チャットボット、営業履歴抽出、ニュース解析 |
7. 画像認識 | 書類文書のテキスト化(OCR) |
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