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2022年11月に登場したChatGPTだが、その話題性は衰える様子がない。むしろグーグルとのAI競争激化を誘発し、注目度は日に日に高まっている。これに伴い、再び関心を集めているのが「Web3領域の分散化AIプロジェクト」だ。Web3時代のAIとはどのような存在なのか、代表的なOpenAI以外で注目される「SingularityNET」「Fetch.AI」「Ocean Protocol」などのAIプロジェクトの動向を見ていこう。
ChatGPTの波紋
ChatGPTの登場で、AI関連トピックへの注目度が再び急速に高まっている。メディアや一般消費者だけではなく、投資家の関心度も上がっており、資金流入に伴う開発の加速も見込まれる。
たとえば、ChatGPTはAIの中でも「
ジェネレーティブAI(生成AI)」に分類されるが、この分野への投資額が大きく伸びているのだ。
CBInsightの調査レポートによると、ジェネレーティブAI分野へのベンチャー投資額は、2022年に26億ドルと前年の15億ドルから大幅に増加。ベンチャー投資が全体的に落ち込んだ中で投資が大きく増えた分野であり、投資家の関心度の高さを示す数字といえる。
また、その内訳をみると、ジェネレーティブAIに分類されるスタートアップの2/3以上がシリーズAに至っておらず、今後、投資ラウンドが進むことで、投資規模も大幅に拡大することが見込まれる。
このジェネレーティブAI分野で突出しているのが、ChatGPTを開発したOpenAIだ。同レポートでは、評価額は200億ドルに達するとされるが、オランダの調査会社ディールルームの調査に基づく
報道で290億ドルに達するとも言われる。
AIへの関心が再び高まりつつある状況下、Web3領域におけるAIの取り組みにも関心と資金が注がれるようになっている。
AIモデル/サービスのための分散化マーケットプレイス
Web3領域のAIプロジェクトはさまざま存在するが、特に注目されているのは、ブロックチェーン/分散化技術を活用して、AI開発やAIサービス利用を促進するプラットフォームを構築するプロジェクトだ。
トークンの時価総額で見たプロジェクト規模で最大となるのが
SingularityNET。2023年2月15日時点の
時価総額は約5億2,000万ドル。2022年末時点で5,000万ドルであったことを鑑みると、投資資金が急速に流入していることが分かる。
SingularityNETは、AIサービスの販売・購入を可能にするマーケットプレイスを提供しており、Web3領域で代表的なAIプロジェクトとして関心を集めている。
これまでのAI開発環境とSingularityNETはどのような点で異なるのか。
1つはAIモデル/サービスのトークン化による、AI開発者への資金インセンティブが挙げられる。
SingularityNETは、他のブロックチェーンプロジェクトと同様に独自のクリプトトークンを発行している。マーケットプレイスでのAIモデル/サービスの売買には、このトークンが必要となる。AIモデルの開発者がマーケットプレイスでAIモデルを販売すると購入者から直接トークンを獲得することになり、収益ベースの拡大が可能になるのだ。
同トークンは複数の暗号通貨取引所に上場されており、ビットコインやイーサリアム、またステーブルコインなど、汎用性の高い暗号資産に替えることもできる。
マーケットプレイスでの売買はブロックチェーン上に記録され、仲介コストを下げることが可能であるため、AIモデル/サービスを既存の仕組みよりも安く提供でき、AIのさらなる普及に寄与することが期待される。
マーケットプレイスでは、多言語音声翻訳、リアルタイム音声クローン、音声感情認識、画像生成など多様なAIモデルが提供されており、デモから利用することが可能となっている。
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