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  • 2025/03/24 掲載

Deep Researchを比較、OpenAI vs グーグル vs Perplexity vs xAI vs 中国Manus

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高度な情報収集と分析を行う「ディープリサーチ(Deep Research)」機能をめぐり、主要AI企業間の競争が激しさを増している。2024年末からのわずか数カ月間で、グーグル、OpenAI、Perplexity、そしてxAIが相次いでディープリサーチ関連機能を発表。また直近では、中国発のManusも話題を呼んでいる。各社の機能は、複雑な質問に対して自律的にWeb検索を繰り返し、情報を収集・分析・整理して詳細なレポートを生成するという共通点を持つ。特にOpenAIは「Humanity's Last Exam」など難関ベンチマークで優位性を示す一方、月額200ドル(約3万円)という高額な料金設定も話題となっている。本稿では、急速に進化するディープリサーチをめぐる競争状況と各社の戦略、そして今後の展望を解説する。
執筆:細谷 元  構成:ビジネス+IT編集部
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「ディープリサーチ」は自律的に情報を収集・分析し、総合的な理解と洞察を提供するAIのこと
(Photo:DIA TV / Shutterstock.com)

活発化するディープリサーチをめぐる動き、そもそもディープリサーチとは?

 ディープリサーチ開発競争がわずか数カ月の間に急激に熱を帯びてきた。

 そもそもディープリサーチとは何か。従来の検索エンジンとの大きな違いは、単にWeb上の情報を検索して表示するだけでなく、AIが自律的に複数のステップを経て情報を収集・分析し、総合的な理解と洞察を提供する点にある。

 また、これまでChatGPTやPerplexityが提供してきたAIによるシンプルな検索とも一線を画す。シンプルなAI検索は、ユーザーの質問に対し、AIが検索ツールを使い、当該トピックを検索し、その検索結果を分析・まとめ、最終アウトプットとして表示する。

 一方、Deep Researchは、エージェンティックフレームワークをフル活用し、検索結果を確認するだけでなく、その結果を分析し、再度検索が必要な場合は検索を実行するなど「自律的」に判断し、検索・リサーチを進めることができる。

 グーグルが先陣を切り、2024年12月に「Deep Research」機能をGemini Advancedで発表した。同社によれば、この機能は「複雑なトピックを調査し、包括的で読みやすいレポートとして結果を提供する」AIエージェントと位置づけられている。

 グーグルのデイブ・シトロン氏は、「マルチステップの研究計画をユーザーの監視下で作成し、Web上の関連情報を深く分析する」と説明。ロボット工学のプレゼンテーションに向けた自動運転車センサーのトレンド調査など、膨大な時間を要する調査作業を数分で完了できる点を強調した。

 しかし、市場の主導権は急速にOpenAIへと移行。2025年2月2日、同社は次世代モデルo3をベースとした「Deep Research」をリリースし、大きな反響を呼んだ。

 競合企業も即座に反応を示した。当初から検索に注力してきたPerplexityは2025年2月14日、独自のDeep Research機能を発表。一方、イーロン・マスク氏率いるxAIもGrok3の発表と同時に、Deep Search機能を公開した。またHugging Faceも「open-source DeepResearch」を公開するなど、オープンソース開発にも火を付ける結果となった。

 さらに2025年3月には、中国発のManusがSNSで突如として話題になるなど、ディープリサーチはAI分野の中で最も注目されるトピックとなっている。

 ヘリコーンの分析によれば、OpenAIのDeep Researchはパワフルだが高額(月額200ドル:約3万円)、SEOバイアスを受けやすいものの、グーグルのDeep Researchは月額20ドルから無料への変更を発表した。Perplexityは最速かつ無料枠(1日5クエリ)があるという特徴がある。

OpenAIの動向、「Deep Research」の圧倒的な性能と高額な料金体系

 OpenAIのDeep Researchは、登場と同時に高い評価を獲得した。同社の最上位サービスプランChatGPT Pro(月額200ドル、約3万円)向けに提供が開始されたが、ChatGPT Plus(月額20ドル、約3,000円)でも月に10クエリほど利用することが可能だ。

 高い評価を受ける背景には、最新AIモデル「o3」の活用がある。OpenAIによると、同社のDeep Researchは、「Humanity's Last Exam」という難関ベンチマークで26.6%という最高精度を記録。これは、PerplexityのDeep Research(21.1%)やGemini Thinking(6.2%)、Claude 3.5 Sonnet(4.3%)を大きく引き離す数値だ。

 さらに、実世界の問題解決能力を評価する「GAIA(General AI Assistant Benchmark)」においても、平均72.57%という高スコアを達成した。とりわけ最難関の「レベル3」では58.03%を記録し、従来の最高記録42.31%を大幅に更新している。

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「Humanity's Last Exam」のスコア
(出典:OpenAIのWebサイト

 OpenAIのサム・アルトマンCEOは、当初ChatGPT Proユーザーに限定していた同機能の提供範囲拡大を表明。同氏はXアカウントで「ChatGPTプラスでは月に10回、無料ティアでは月に2回の利用を初期段階で提供し、時間とともにこれらを増やしていく意向だ」と説明しており、無料枠やプロプランで限定提供することで、上位プランに誘導したい考えが見て取れる。

 さらに驚くべきは、The Informationが2025年3月に報じた内容だ。その最新報道によれば、OpenAIは専門化された「AIエージェント」に対して最大で月額2万ドル(約300万円)の料金を設定する計画があるという。セールスリードの整理とランク付け、ソフトウェアエンジニアリングなど、さまざまな用途に合わせた複数の「エージェント」製品を展開する可能性が報じられている。

 具体的には、「高収入の知識労働者」エージェントが月額2,000ドル、ソフトウェア開発者エージェントが月額1万ドル、そして「博士過程級の研究」をサポートするエージェントが月額2万ドルと報じられている。これらのエージェントツールがいつ発売されるか、どの顧客が購入対象となるかは不明だが、OpenAIの投資家であるソフトバンクが2025年だけでこれらのエージェントプロダクトに30億ドルを投じることを約束したとも報じられており、近いうちに大きな動きがあるものと思われる。

 同社にとってこれらの高額プランは、2024年に約50億ドルの損失を計上したという収益面の課題に対する打開策となる可能性がある。しかし、OpenAIの「Deep Research」が、こうした高額な料金体系を正当化できるのか、今後の市場の反応が注目される。 【次ページ】検索を主軸としてきたPerplexityもディープリサーチ関連の取り組みを加速
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