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- 2023/10/20 掲載
金融業界の「AI革命」とは? 機械学習の進化「影響や課題、展望」まとめ
DataRobot Japan 3番目のメンバーとして参画。現在は、金融業界を担当するディレクター兼リードデータサイエンティストとして、金融機関のお客様でのAI導入支援からCoE構築の支援を行いながら、イベント、大学機関、金融庁などでの講演を多数実施。 初期はインフラからプロダクトマネジメント業、パートナリング業までDataRobotのあらゆる業務を担当。前職ではデータマネジメント系の外資ベンダーで分析ソリューション・ビッグデータ全般を担当。
一般社団法人 金融データ活用推進協会(FDUA)は、「金融データで人と組織の可能性をアップデートしよう」というミッションを掲げ、金融業界の実務者が集まり、業界全体のAI、データ活用を推進することを目標に活動するコミュニティです。
AIの進化と金融業界への影響
金融機関にAIの業務が浸透今から5年ほど前では多くの金融機関において、顧客リストを自動生成する「AI営業リスト」の活用や、顧客情報をAIに分析させて傾向をつかむことなど、「バッチ処理的なAIの利用」が主流でした。
しかしここにきて、申込者の属性情報により返済の見込みや貸付限度額などを割りだす「審査AI」によって業務フローを変更したり、「AIを活用した自動売買」の導入により新しい業務が登場したりするなど、AIを中心とした職務内容や組織体制の変更が現実のものとなっています。AIの業務浸透のレベルが確実に高度化しているのです。
予測AIから生成AIへ
AIには細かい種類がいくつも存在しますが、現在では大まかに予測AIと生成AIに区分けできます。予測AIは物事の予測や判断を支援し、与信審査、不正検知、マーケティング、アルゴトレードなどの意思決定プロセスにおいて重要な役割を果たしています。
一方、生成AIはテキストや画像の生成に特化し、金融機関などではFAQの自動生成や金融アドバイザーのレポート自動生成など、テキスト系での活用に注目が高まっています。
AIの業務応用が進化している中で、現時点では主に予測AIが主流ですが、多くの金融機関が、急速に成長している生成AIの潜在能力を探求しています。生成AIは情報の自動生成という新たな次元を金融業界にもたらし、注目を浴びています。金融業界におけるAIと機械学習の進化は、今後、業界の未来をどのように変えるのか、考察します。
金融とAIの相性とは?
金融機関が持つデータの強さ金融業界におけるデータは、他の業種と比較して嘘のつけないデータという点で特筆すべきです。一般的なデータと比べて、金融機関が保有するデータには虚偽の情報やノイズが少なく、これは重要な特徴です。
一般的なアンケートデータは、本音と異なる可能性が高く、そのデータの信頼性が低いことがあります。また、小売業などの購買情報は、店舗での購入、家族が購入したもの、ECでの購入などが混在しており、データとしてどこまで正確に捉えられているか不透明なことが少なくありません。しかし、金融機関の取引履歴はその取引の性質上、正確性が高く、一般的に“嘘をつく”余地がほとんどありません。
ライフイベントデータの価値
金融機関は顧客のライフイベントに関する正確なデータを持っています。これは、顧客の生活ステージが変わる瞬間のデータを取得する難しさを考えると、非常に貴重な情報です。
他の業界では、引っ越しや家族構成の変化を正確に把握することが難しい場合が多いですが、金融機関はお金の流れと合わせて正確なライフイベントデータも保持していることが多いのです。このようなデータの正確性は、AIモデルの精度向上に大いに貢献しています。
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