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  • 2019/02/01 掲載

1000万人規模の訪日中国人ビジネス、“すでに勝負あり”のワケ

連載:中国への架け橋 from BillionBeats

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2018年、訪日外国人は3,119万人に達した。そのうち訪日中国人は838万人、実に全体の27%を占める。2019年は訪日中国人客がいよいよ1000万人目前になると予想される。社会現象となった「爆買い」ブームは終わり、安定した需要をもたらす中国インバウンドの主役は若いネット世代だ。インバウンドビジネスを成功させるには彼らの心をつかまなければならない。だが実は、訪日時にはすでに“勝負がついている”のである。
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2018年、中国人は訪日外国人の4分の1以上を占めた
(©petrovk - Fotolia)


中国インバウンドの「主役」交代

 2018年、訪日外国人累計3,119万人(前年比8.7%増)に達し、2020年の政府目標4000万人が射程圏内に入ってきた。目標達成のキーとなるのは、訪日中国人だ。2018年、訪日中国人は838万、実に全体の27%を占め最大、伸び率も前年比13.9%と東アジアの中では最大だ。

2018年訪日外国人客数
年間累計前年比率割合
中国8,380,10013.9%27%
韓国7,539,0005.6%24%
台湾4,757,3004.2%15%
香港2,207,900-1.1%7%
東アジア計22,884,3007.5%73%
総数31,191,9008.7%
(出所:日本政府観光局(JNTO))

 中国インバウンドは政治の影響を受けやすいが、2018年は李克強首相の訪日や安倍総理の訪中イベントを無事に終えた。続く2019年は、習近平国家主席が6月に大阪で開かれるG20首脳会合出席に合わせて国賓として来日が予定されるなど、追い風が吹いている。

 中国インバウンドといえば、2014年から2015年にかけて社会現象となった「爆買い」ブームをもたらしたが、団体客による爆買いは年々減少傾向にある。昨年8月の大手家電量販店銀座本店の閉店は象徴的な出来事だった。

 今の主役は、20-40歳ぐらいまでのネット世代(1980年以降生まれ)を中心とした個人客だ。観光庁発表の「訪日外国人消費動向調査」によれば、個人客の比率は2014年38.9%から2018年7-9月期では67.1%まで上昇しており、約7割が個人客である。

 彼らの消費・旅行スタイルは、スマホ片手に日常や「旅マエ(訪日旅行前)」から行き先候補をBaidu検索したり、SNS(Weibo、WeChat、口コミサイト等)をチェックしたりと積極的にネットを活用する。したがって、日常や旅マエから彼らとデジタルでつながり、心をつかむことは外せない要件だ。

 では、実際にどのようにSNSを活用すべきか。SNSを活用したファンの囲い込みの実例を二つ紹介しよう。

インバウンドは「ファンコミュニティ」がカギに

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 まず、ひとつめのケースは、「日常」のコミュニティ化だ。

「熱量が高いファンのコミュニティをいかに作れるか。それが成功の鍵です」と話すのは行楽ジャパン社長の袁静氏だ。

  2010年ごろに北海道の旅がブームとなったが、袁氏はいち早く、団体旅行では訪れないような街や店、人やものづくりの魅力を伝えることに取り組んだ。行楽が編集するガイドブックは、豪華で美しいライフスタイルマガジンのようなつくりで人気となり、「保存される旅行誌」として中国旅行業界で知られている。

 同社は日本の地方自治体の観光PRを数多く手がけてきた。現在は、SNSとリアルを組み合わせたコミュニティづくりで成果をあげている。

 実例として、2018年に同社が支援した徳島県上海事務所主催の阿波(あわ)踊りイベントを見てみよう。

 実は上海には「阿波踊り同好会」があり、若い世代を中心にそのメンバーは80名を超える。

 そこで行楽ジャパンが運営するWeChat公式アカウント(フォロワー46万人)で阿波踊りの体験イベントを募集したところ、定員80名に対し、4倍近い応募があった。抽選で選ばれた参加者は徳島県から駆けつけた本場の踊り子から踊り方を教わり、一緒に踊り、阿波踊りの楽しさを体感した。

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上海での阿波踊りのイベントの様子
(提供:行楽)

 その後、参加者限定のクローズドなWeChatグループを作り、感想や写真の共有、阿波踊りに関する質問があればすぐに回答するようにしたところ、グループ内のコミュニケーションが活発になった。

 また、それだけではない。上海でのイベントに飽き足らず、本場・徳島に体験旅行に行くなどファンがさらに増えた。実際に本場で体験すれば、彼女たちは阿波踊りだけではなく徳島のファンになってくれる。

 このように、(1)WeChatで情報を配信して参加者を募集し、オフラインの体験イベントで魅力を体感させる、(2)その後、WeChatのグループ機能を活用してコミュニケーションを活性化させる、という一連の施策はWeChatならではの活用術である。

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