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中国で今、急激に「富裕層」や「プチ富裕層」、「中間層」と呼ばれる人々が出現しているのをご存じだろうか。日本語にも「富裕層」「中間層」といった言葉や位置づけはあるが、同じ言葉でも定義や中身は大きく異なる。中国に生まれた新しい階級はどのような人々なのか。また、消費意欲旺盛な彼らは日本に何を求めてやってくるのか。一口に「中国人」とはくくれない彼らの階層を知ることがビジネスチャンスにつながるだろう。
日本人が中国人に持つ、ステレオタイプのイメージ
「中国人観光客はマナーが悪いでしょう?だから正直言って、日本に来てほしくないんですよ」
ネット上などでこんなコメントや意見を見かけたことはないだろうか。あるいは、地方の商店街など、こういううわさ話を一度や二度は耳にした人は少なくないはずだ。「マナーが悪い」「声が大きく、秩序を乱す」。そんな中国人のイメージを多くの日本人が持っている。
事実、そうした人々は存在する。筆者自身も、成田空港のトイレで中国人女性に「横入り」されてイラっとした経験もある。だが、そうした強く刷り込まれたステレオタイプの中国人像がある上、2015年に爆買いブームが巻き起こったために「中国人はもうこりごり」と思う日本人が多いことは残念だ。
なぜならば今、中国では急激な経済成長の恩恵にあずかった富裕層やプチ富裕層、中間層が台頭し、彼らが消費リーダーとなって、日本を始めとする海外に飛び出しているからである。
「富一代」と「富二代」
まず、中国の富裕層などについて、筆者なりの定義を紹介したい。拙著
『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』でも紹介しているが、一般的に富裕層とは「一定以上の経済力や購買力を有する個人、世帯」を指すセグメンテーション(区分)だ。
カナダのRBCウェルス・マネジメントが2015年に発表した世界の富裕層ランキングでは、1位アメリカ、2位日本、3位ドイツ、4位中国の順だった。この調査で「富裕層」は「100万ドル以上の投資可能資産を有する世帯」と定義されているが、中国国内では富裕層の定義は明確化されておらず、政府や民間には統計もない。
だが、中国の場合、特徴的なのは「富一代(富裕層の第一世代)」と「富二代(富裕層の第二世代)」という言葉があることだ。「富一代」は現在50~60代で、自力で起業して大成功を収めた経営者や不動産でもうけた人々のこと。
「富二代」は「富一代」の子弟のことをいう。80年代生まれが多く、そのトップ世代は(2018年3月現在、)38歳になろうとしている。「富二代」の中には「幼い頃から家庭環境に恵まれて勉学に励み、海外留学などをして事業を立ち上げた知的成功者タイプ」と、「親のコネを使い倒し、威張り散らす金持ちのドラ息子タイプ」の主に2種類いるといわれている。
「富一代」「富二代」は欧米や日本の富裕層と比べて比較的年齢が低く、居住地は沿海の都市部(北京市、上海市、江蘇省、浙江省、広東省など)に集中し、大卒以上の学歴を有する人が多いといわれている。
「富一代」「富二代」と呼ばれないまでも、これら以外にも富裕層に属する人々は大勢いる。昨今はITビジネスで起業し、30代であっても「富一代」となっている人々が少なくないからだ。
たとえば、中国で流行しているシェア自転車の「mobike(モバイク)」を創業したフー・ウェイウェイ氏は1982年生まれで30代、同じくシェア自転車の「ofo(オッフォ)」創業者 ダイ・ウェイ氏は90年代生まれの20代だが、富裕層と呼べるだろう。中国政府も推進しているITビジネスで一旗揚げ、資産が数千万円以上、という人々も多数存在する。
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