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  • 2018/12/13 掲載

企業のオフィス、「箱を作って終わり」の時代は終わった

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新しいアイデアが生まれない。問題を挙げればきりがないが、解決策は皆無。規模の大小に関わらずそんな企業が多くはないだろうか。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM : Center for Global Communications)で創造性や仕事の未来を専門をとするトゥーッカ・トイボネン氏は「イノベーションを起こしたいなら働く環境を整えることが先決」と語る。とはいえ、働く環境をどうすればいいのか。
ビジネス+IT編集部 佐藤 友理

ビジネス+IT編集部 佐藤 友理

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トゥーッカ・トイボネン氏

世界中で「ワークプレース」が商品に

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 トイボネン氏はこれまで英国、フィンランド、日本のオフィスなどの「働く環境」とイノベーションの関係を研究してきた。最近では、ロンドンの12人の起業家を1年にわたって研究し、彼らが何からどう影響を受けるのかを分析した。またフィンランドの15のビジネスに関わるチームを調査し、創造性と場所の関係を調べた。

 トイボネン氏によると「働く場」「創造的なことをする空間」の重要性が増しているという。そして同時に、「世界的なトレンドとして、ワークプレースの商品化が進んでいます」(トイボネン氏)。中国の上海だけでも1000、東京で約200、ロンドンでも約200ものスペースがコワーキングスペースなどの商用ワークプレースとして運営されている。

 働く人のワークプレースの選択肢が増えているのだ。

「箱を作って終わり」の時代は終わった

 ワークプレースが増え、働く空間の選択肢が増えるのは良いことだが、それと同時に課題も見えてきた。

「これまで、私は研究を通して起業家が何からどの程度影響を受けるのかを分析してきました。これは、働く空間にも応用すべきことです。綺麗でおしゃれなオフィスで働くと気分がよくなるでしょう。でも、それで生産性は上がったのでしょうか。クリエイティブになれたのでしょうか。ワークプレースは何にどう影響したのか。これをよく考えなければならないのです」(トイボネン氏)

 では、ワークプレースは本来どうあるべきなのか。トイボネン氏は空間を作る側の責任を問う。

「これまで、ワークプレースなどの空間づくりは『箱を作ったら終わり』でした。建築家やインテリアデザイナーなどの空間づくりを請け負う人間は、空間がその後どう使われるのか調べることもないし、その義務もありませんでした。ですが本来、空間とは『使い続けるもの』です。人間がその空間に入ってから工夫し、改善し続けることが『空間を使う』ことなのです。これからはそうした空間を作る人間が『ワークプレースを作った後』にまで責任を持つ必要があります」(トイボネン氏)

「空間」の多面性を理解しないと使いこなせない

 ワークプレースを語るにあたり、物理的な空間が重要なのはいうまでもない。しかし、「働く空間」は物理的なところだけを指すのではない。

 たとえば最近広く使われるようになったチャットツール。チャットでは、複数の人間が目的に合わせてチャットルームを作り、目的に応じたコミュニケーションをとる。

「空間は多面的なものです。物理的なところで言えば、テーブルをどこに置くのか、テーブルに対してどこに座るのか。2人でコミュニケーションを取るとき、隣に並ぶのか、テーブルを挟んで向かい合うのか。あるいは、対面しないでチャットで会話するのか。コミュニケーションはテーブルのような物理的な空間要素を介することもあれば、チャットのようなサイバー空間で行われることもある。人とコミュニケーションを取るときに、どの場を選んで、どう接するのかを考え、望ましいコミュニケーションを『成功の基準』とし、使い分けることが重要です」(トイボネン氏)

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