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- 2018/11/08 掲載
日本で進まないアジャイル開発、組織のどこに問題があるのか?
3年後はあらゆる業界の40%以上でIoT活用が推進される
こうした変化は絶好の商機でもあるが、スマートテクノロジーへの追従は簡単にはいかない。背景にあるのが、革新の途上にあるがゆえの技術の未成熟さだ。
「確かにスマートテクノロジー関連市場はすでに一定規模を形成しています。しかし、その多くは市場が立ち上がり始めたばかりで、顕在化していない、未解決の課題も多数残されています。必然的に、スマートビジネスのリスクは大きく、成功する可能性も決して高くはないのです」(金谷氏)
こうした状況にもかかわらず、多くの企業が新たな成長機会を求めてIoT活用に舵を切る。ITRの「IT投資動向調査2019」によると、企業の「IoTのビジネス活用」率は、現時点では業界ごとに差はあるものの概ね9~17%ほど。それが3年後にはどの業界でも40%を超える見通しだ。
さまざまな副産物が生じるために生産調整を構造的に行いにくい化学業界や、最終製品メーカーに部品を納品する二次/三次メーカーの一部からは、「自分たちにIoTは関係ない」という声もしばしば聞こえるが、「流通や工場のプロセスまでスマート化が進めば、これらのプレイヤーもIoTの波に巻き込まれてしまうはずだ」と金谷氏は述べる。
そうであるならば、先んじて知見を獲得すべきだ。そんな考えも調査結果から透けて見えてくる。
「モノづくりの国、日本」はもはやイノベーション後進国に
スマートビジネスはその先行きの不透明さゆえに戦略や計画を立てにくい。企業はスマートビジネス市場において、利用側と供給側のどちらの立場にも立てる一方で、そこに投じることが可能なリソースには限りがある。必然的に、成功を収めるには「動的かつ柔軟なビジネス選択」と「自社のポジションの明確化」「自社の領域外での他社との機動的な協業」が鍵を握るという。目指すのは「プロセス」「プロダクト」双方でのイノベーション創出である。ただし「そのために厄介なことが2つある」と金谷氏は打ち明ける。1つ目がイノベーションの起きにくさだ。
米国の民生技術協会が発表したイノベーションランキングによると、上位のフィンランド、英国、米国とは対照的に日本は25位に沈む。
「プロダクトへのIoT導入率でも2015年で17%と、同43%の米国、同26%のドイツに大きく後れを取っています。長らく製造立国といわれてきた日本が、実はモノづくりでもイノベーション後進国であるのは、これを見ても明らかです」(金谷氏)
2つ目が、企業におけるスマートテクノロジーの推進役がいまだ不明確なことだ。
IT部門が適任と考える企業は確かに多いが、その割合を技術別に見ると、50%を超えたのはクラウド(61%)、サイバーセキュリティ(56%)の2つだけ。残るAIやIoT、RPA、デジタルビジネスの創出では、ビジネス部門や新規の専任組織に任せるとの回答も少なからぬ割合を占める。
「デジタルビジネスでは現場の知見が豊富に求められ、その点を織り込んだ体制作りを多くの企業が進めています。一方で、デジタル技術の理解度からIT部門への期待も決して小さくありません。迅速な意思決定のためには責任の所在の明確化は欠かせませんが、いずれにせよ、体制作りは簡単ではありません」(金谷氏)
破壊的イノベーションにはメソッドの変革が不可
また、「破壊的イノベーション」は大きな痛みを伴うため、守るべき事業や組織が多い大企業ほど本腰を入れにくい側面もある。「自動車産業が内燃機関を重視してきたのも、そのために洗練させてきた高度なビジネスモデルがあったからだ」と金谷氏は説明する。とはいえ、スマート化の流れは待ったなしの状況だ。その波に乗るには既存のビジネスモデルと、それを支えるシステムの双方に大ナタを振るう必要がある。そのためのメソッドは近年の成功企業の分析を通じていくつも生まれており、中でも金谷氏が注目するのが、「リーンスタートアップ」「アジャイル開発」だ。
【次ページ】イノベーションを起こすメソッドを図で紹介
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