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MUFGは、2016年に設立された邦銀初のスタートアップ向けアクセラレーションプログラム“MUFG Digitalアクセラレータ ”の第3期 DEMO DAYを東京国際フォーラムで開催した。 このイベントから、MUFGがどんなテクノロジーや領域に注目しているかが読み取れる。
MUFGはどんなスタートアップに注目しているのか
この7月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)は、スタートアップ向けのアクセラレーションプログラムである“
MUFG Digitalアクセラレータ ”の第3期 DEMO DAYを東京国際フォーラムで開催した。
同プログラムは、2016年に設立された邦銀初のスタートアップ向けアクセラレーションプログラムである。
通算で3回目の開催となる今年はスタートアップ6社が採択され、4月から4カ月間、東京都中央区の兜町にあるコワーキングスペース“MUFG The Garage”でメンタリングセッションを中心に事業促進のサポートを受けてきた。
本稿では受賞企業の顔ぶれからFinTechの潮流を感じていただきたい。
スタートアップ6社の発表、MUFGとの協業開始も
グランプリ(事業奨励金200万円)を獲得したクレジットエンジンは、主に中小企業や個人事業主を対象とするオンライン融資サービス“
LENDY”を運営するフィンテックスタートアップ。
比較的短期・少額で、これまで銀行や地銀などの金融機関が対応できなかった融資機会を取り込んでいる。ビッグデータを活用した審査モデルで、融資をオンライン完結でスピーディに実行するのも特徴だ。
DEMO DAYではプログラムの成果として、LENDYの仕組みをもとに金融機関がオンライン融資サービスを低コストで提供できる“クレジットエンジン・プラットフォーム”を発表。また、三菱UFJ銀行と業務提携を締結したことも発表し、同プラットフォームの活用を検討していくことを明らかにした。また、MUFGグループのアコムとも一緒に、融資へのさらなるデータ活用を検討していく。
惜しくもグランプリは逃したものの、RESTARとMDRが準グランプリ(事業奨励金50万円)を獲得した。
RESTARは金融機関などの不動産投資を行う事業者向けの事業用不動産の情報検索・分析サービス“REMETIS”を開発中。
金融機関に存在する現在の不動産投資・審査関連業務の非効率な手作業を同サービスで置き換えることにより、劇的な業務量削減が期待できるという。
プログラム期間中に、三菱UFJ銀行および三菱UFJ信託銀行の不動産関連部門と協議を重ね、REMETISに必要とされる機能のブラッシュアップを行った。今後、MUFGでの活用を視野に入れて協議を続けていくとのことだ。
MDRは量子コンピューターの活用を専門分野とするスタートアップ。量子コンピューターの1方式である“
アニーリング”マシン向けのSDK(開発者向けキット)である“wildcat”を無償公開するなど、精力的に事業の拡大を目指している。
MDRとMUFGは共同で、アニーリング方式を用いていくつかの金融問題の解決を試み、結果として資産運用・業務効率化のような組合せ最適化問題は実装可能と判断した。
一方で暗号セキュリティや市場リスク計算、経済予測などの領域には適用が難しいことがわかり、今後は汎用型マシンでの解決を目指していく。
また、同社は三菱 UFJ 銀行と汎用型マシンを使った共同研究を検討するための契約を締結し、「銀行が量子コンピューターの開発に(間接的に)出資すること」も発表している。
【次ページ】金融機関が運営するアクセラレータの意義
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