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  • 2018/01/24 掲載

なぜカメラのGoProは「落ちぶれた」のか? 背景に中国企業の影

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超小型3D、360度カメラの販売により急成長を遂げたGoProが身売りの危機にさらされている。その成長ぶりからソーシャル時代の申し子ともいわれた同社だが、どこで成長戦略を間違えたのか。またどの企業がGoProを買収するのかにも注目が集まっている。
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かつて時代の寵児だったGoProのニック・ウッドマンCEO(写真中央)
(写真:筆者が2016年に撮影)

「体験をYouTubeでシェア」で大きく躍進

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 GoProはサーファーでもあるCEOニック・ウッドマン氏が「自分のサーフ体験をよりリアルに、迫力ある映像で楽しみたい」という思いから2002年に創業した。当初はウッドマン氏自身がビーズアクセサリーやカメラストラップなどを作って販売、会社の資金を貯める形だった。

 しかし、超小型カメラとソフトウェア、ビデオ編集ソフトなどを組み合わせることで、その映像がYouTubeなどで紹介されるようになり、会社は大きく成長。2014年に上場を果たしたが、当初の株価は40ドルを切る程度だったものが2014年10月には86ドル97セントという最高値をつけた。

 従業員数も2015年には500人となり、マイクロソフトの元重役であるトニー・ベイツ氏を社長に迎えるなど、その勢いは全米の起業家の目標となるものだった。

株価が1/10になってしまった理由

 ところが2015年後半に株価は一気に衰え20ドルを切る。会社の業績も17年第1四半期にはついにマイナスに陥った。2018年1月現在の株価は6ドル台、という最盛期からは考えられない数字となっている。

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GoProの四半期別 利益成長率

 このためウッドマンCEOは「会社を存続させるためならば他社に買収してもらうこともオプションとして考えている」と発言、身売り寸前と言われている。

 GoProの躓きの原因となったのは何か。ズバリ、ドローンへの進出だ。GoProの小型カメラはもともとドローンによる撮影との相性が良い。YouTubeの投稿もスポーツなどの迫力ある映像に加え、ドローンによる空中撮影のものが多かった。このため同社は自社によるドローン製造販売に踏み切ったが、これが業績を圧迫する結果となった。

 米のホビー用ドローン市場を見ると、市場の過半数を占める圧倒的な強さを見せているのは中国のDJIだ。2015年のマーケットシェアでは48%がDJIとされていたが、2016年にBIインテリジェンス社が発表した数字によるとそのシェアは実に75%。これはDJIのシステムを使った企業なども合わせた数字で、2位の3Dロボティクス社が7%だから、まさに市場独占状態とも言える。

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ドローン市場のシェア、DJIが他を圧倒する

ドローン開発者「中国のDJIには太刀打ちできない」

 ドローン開発業者に話を聞くと、「ホビー用の商業ドローンではDJIには太刀打ちできない」という声が圧倒的だ。その理由は「開発サイクルの速さ、価格」において米企業に圧倒的に勝っていること。

 そのため、米国のドローン業界は「より高性能で(その分、高価格な)企業向けのドローン」に注力する傾向がある。その中でホビー用に特化している3Dロボティックス社、そしてGoProが立ち上げたKarmaなどは大苦戦を強いられることになった。

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他の調査でもドローン市場でのDJIの強さが際立つ

 GoProとしてはカメラとドローンの抱き合わせ販売で、より成長できるシナリオを目指したのかも知れないが、これが裏目に出た形だ。

 また、カメラの販売そのものも当初の勢いから急速な落ち込みを見せたが、これも「新製品の発売サイクルが短すぎる。消費者は一度カメラを購入すれば3-4年は使い続けるため、買い替え需要にも乗り損ねた」という見方がある。

 ソフトウェアにしても、ユーザーは撮影した映像をPCに取り込み、さまざまな編集ソフトを利用するためカメラとの抱き合わせ販売という手法は決して成功していない。

 つまり次々に新しい製品を出せば売れる、という見込みが大きく外れ、開発費用が利益を圧迫した形となる。またGoProの製品価格は平均よりも高めであり、現在ではより安く高性能な製品が多く出回っていることも大きい。

【次ページ】GoProの買収が噂される超大手企業とは?
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