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スポーツウェアのカジュアルユースのことを「アスレジャー」と呼ぶ。最近、先進国を中心に売上を大きく伸ばした分野で、スポーツ用品の業界でもカジュアルウェアの業界でも参入や新製品発売が相次ぎ、アスレジャーは成長のキーワードの一つになっていた。日本の市場も例外ではなく、特に女性による旺盛な購買が引っ張っている。しかし、最新の状況をみると、北米でも日本でもその勢いにかげりが見えてきた。その一方で、EC業界の巨人、アマゾンがこの分野に参入するといううわさもあり、このまま成長が続くのか、それともブームとして過ぎ去るのか、見極めが難しい時期に入りつつある。
「アスレジャー」とは何か?
ファッションの世界の言葉「アスレジャー(Athleisure)」、英語のアスレチック(Athletic/運動)とレジャー(Leisure/余暇)を合成させた新語だが、和製英語ではなく世界的に通用する。その意味を簡単に言えば、スポーツウェアを普段の生活でもカジュアルウェアとして着るというスタイルだ。
日本語で言えば「運動着を街着にする」だが、いつも「ジャージ」を着ている体育の先生や、夜中のコンビニに行くといるような体育会系の学生の姿を連想してはいけない。
それよりもずっとファッショナブルな、たとえばフィットネスクラブやヨガスタジオの中で着ているようなウェアを、タウンユース(シティユース)として日常生活の中で着るのが、アスレジャーである。
そんなウェアは機能性もさることながら、もともと素材も色もデザインも「スタジオの室内照明の下で人に見られる」ことを考えてファッショナブルにつくられているので、上着と合わせておしゃれなコーディネートがしやすい特徴がある。だからアスレジャー商品の購買者は、比率で言えば男性よりも女性のほうが優勢で、その年齢層も比較的若い。
海外では、欧米をフロントランナーに、アスレジャーのマーケットは大きく成長してきた。ドイツ銀行の調査によると、昨年までの6年間にアスレジャーは4.1%の成長をみせ、2016年の全世界の市場規模は2700億ドル(約30兆円)と試算されている。
スポーツ系の世界的なメジャーブランドと言えば「ナイキ」「アディダス」「アンダーアーマー」「プーマ」「リーボック」「ノースフェース」に日本の「アシックス」などがあるが、アスレジャーはむしろ、それ以外の非スポーツ系のファッション企業が率先してブームに火をつけた観がある。
たとえば英国のカジュアルブランド「トップショップ」は昨年4月、アメリカのミュージシャンでファッションアイコンでもあるセレブ「ビヨンセ」とコラボしアスレジャーの新ブランド「アイビーパーク」を立ち上げると、特に女性に支持されて驚異的なセールスをあげた。異業種によってシェアが食い込まれたスポーツ系の大手ブランドのほうも次々と新製品を発売して対抗し、アスレジャーのマーケットは一気にひろがった。
スポーツウェア全体では第3位の成長率
2015年頃から北米市場で盛り上がったアスレジャーのブームは、欧米から中国などアジア、新興国へと拡大した。日本にも上陸した、というより、日本ではアスレジャーという言葉が登場する以前からそれを先取りするように、女性を中心にスポーツウェアをカジュアルユースでも着るスタイルが存在した。それは近年、順調に伸びている。
矢野経済研究所が2017年1月に発表した「2017年版スポーツアパレル市場動向調査」によると、スポーツアパレルの国内市場は2016年、前年比で1.0%伸びて5255.5億円だった。2017年はさらに2.3%伸び5377.9億円になると見込まれている。3年間で3.8%の成長率である。
そのスポーツアパレルの一部に「ライフスタイルウェア」というカテゴリーがある。矢野経済研究所では「カジュアルシーンでのスポーツミックスのスタイリング」と言っているが、これはまさにアスレジャーを指している。
ライフスタイルウェアの国内市場は2016年、前年比で2.9%伸びて422億円だった。2017年はさらに3.3%伸びて436億円になると見込まれている。3年間で10.1%で、スポーツアパレル全体に比べて2.7倍ものペースで成長している。
3年間でカテゴリーシェアは7.6%から8.1%に拡大したが、2017年の成長率予測値3.3%は、「陸上競技・ランニングウェア」の6.4%、「アウトドアウェア」の4.2%に次ぐカテゴリー別第3位である。
アスレジャーの成長率は、そのルーツとも言える「フィットネスウェア」の1.8%を大きく超えている。
今やスポーツ用品の業界でも、カジュアルウェアの業界でも、スポーツウェアのカジュアルユース「アスレジャー」は成長のキーワードの一つになっていることが、この調査結果と予測値を見ればわかるだろう。
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