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国内最大級のファッションEC「ZOZOTOWN」を手掛けるZOZO。創業25年目を迎えた同社だが、2022年7月29日に発表した2023年度3月期決算では、商品取扱高・営業利益ともに第1四半期として過去最高実績を更新した。2019年にカリスマ創業者 前澤友作氏が退任、2020年以降のコロナ禍でファッション需要が大きく後退する中で、増収増益を続けることができた理由は何なのか。代表取締役社長兼CEOである澤田 宏太郎氏に単独インタビューを行った。
聞き手:松尾慎司、執筆:翁長潤、編集:本橋実紗、写真:濱谷幸江
聞き手:松尾慎司、執筆:翁長潤、編集:本橋実紗、写真:濱谷幸江
3年連続過去最高更新、成長の秘訣は?
2022年3月期の商品取扱高は5,088億円、翌年3月期には5,438億円まで増加すると見込んでいます。10年前から言い続けてきた「GMV(商品取扱高)で5,000億円」を達成できましたので、今まさに次のステップに向けて経営陣を含めて議論を重ねている状況です。
2019年9月に社長に就任してからを振り返ると、新型コロナウイルス感染症に翻弄された3年だったと思います。特に、就任直後の半年は業績面で苦労した部分はありましたが、「じっくり地に足を着けていこう」と考え、今までおざなりだった細かい部分について実績値をベースに地道に組み立てることに努めました。
たとえば、コロナ禍では「リアル店舗よりもオンラインを利用したい」というお客さまが当社のサイトを数多く訪れるようになりました。その傾向を「特需」と捉える考え方もあると思いますが、私たちは特需だとは考えていません。データを見る限りでは、特需では終わっていません。それまでの地道な取り組みが花開いて、多くの方の継続的な利用につながっています。
コロナ感染拡大で知ったZOZOの存在意義
小売業界では新規集客の獲得も大事ですが、既存顧客を維持するための「リテンション・マーケティング」施策も当然求められます。しかし今のZOZOTOWNは、まず訪問してもらえさえすれば気に入ってもらえる、私たちは十分にその準備ができていたのだと感じています。
どちらにより多く投資をすべきかは迷う部分もありますが、「まずは私たちのサービスを知ってもらう、サイトを訪問してもらうことに集中する」という決断に至りました。今回の状況で考え方がシンプルになり、かじ取りをする上でやるべきことがすごく明確になったことが一番の収穫だと思います。
また、感染が拡大した当初は、リアル店舗休業によって多くのブランド企業の皆さまから「リアル店舗の在庫がさばききれないので、ぜひZOZOTOWNで売ってほしい」という要望がすごく寄せられました。
その時、「より多く顧客を集めて、自社の商品をたくさん売ってほしい」ということが、多くのブランドさまからの共通の要望だということに気づかされました。
そうしたブランドさまからの要望に応え続けるために、細かいことに振り回されず、私たちはとにかくファッション好きのお客さまを集めて、各ブランドさまからお預かりしている商品を購入してもらうことに集中するようにしました。その点で、やるべきことはすごくシンプルなものです。
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