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- 2017/12/18 掲載
9DW 井元剛氏が「東京ガールズコレクション」で人工知能にファッションを学ばせた方法
人工知能 x ファッションの取り組みとしてのスナップコンテスト
しかし、第25回TGCにおけるファッションコンテストには変化があった。これまでのファッションコンテストでは、実行委員会やモデル、ファッションブランドの関係者が審査員を務めたが、今回は人工知能が審査を務めたのだ。
この人工知能技術を提供したのが2016年設立の9DWだ。同社は、汎用型AIコアシステムを開発しているITベンチャーで、医療、農業・畜産、交通・運送、音楽・映像など、多くの分野を対象としている。熊本城の石垣の修復システムや地震の予測システムなどにも、同社の人工知能技術が活用されている。
こうした幅広い分野で実績のある9DWは、2016年12月にTGCを企画・制作するW TOKYOの親会社であるDLEと戦略的業務提携を締結。そこから、9DWの人工知能を活用したスナップコンテストが実現した。
これまでさまざまな人工知能システムを開発してきた9DWだが、ファッション分野は初めてだった。TGCはガラケー時代からショーを見ながら服が変える販売連動を取り入れていたこともあり、最先端のテクノロジーには常に注目していました。その中で9DWさんをご紹介頂く機会があり、TGCとAIをどう組み合わせたら面白いかTGCチームで議論を重ねてスナップコンテストに着地しました。
「ちょうど来場者調査をしていたタイミングで、TGC来場者はSNSで支持を受けることに高いモチベーションを持っているというインプットが得られていたため、AIを活用するなら、SNSを活用したいと思っていました。SNSのデータを学習し、SNS上の支持のバロメーターとなるようなAIコンテンツになるよう、スナップ写真を人工知能で採点できないかと相談しました。審査員が人工知能だったら面白いと思ったからです」(池田氏)
人工知能に「おしゃれ」を学ばせる方法
相談された池田氏は「SNSに上がっているコーディネート写真の中で、こういうハッシュタグを付けている、こういう属性の人達の全身が映っているコーディネート写真を学習してほしいとお願いしました」と説明する。
「人は頭からつま先まで見てトータルでファッションを評価します。今回の人工知能でも同様に審査するように学習させました。したがって、髪型やバッグが変わると採点も変わります」(井元氏)
実際にきちんと採点できるか、テストデータを用いて人工知能が採点した結果と実際の「いいね!」の数を照らし合わせ、精度を確認した。ファッション性が「いいね!」の数に反映されず、人工知能の採点との間にズレがあることもあったが、それもまた面白いということで開発を進めた。
【次ページ】ファッションの専門家も納得した「人工知能審査員」
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