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- 2016/12/27 掲載
小・中学生が1日半でゲーム作り、静岡県川根本町がITキャンプを開催する理由
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不安と期待の入り混じった雰囲気の中で進む、プログラミング教室
会場となったのは、川根本町にある若者交流センター「奥流(おうる)」のセミナールーム。講師はパドラック代表の杉本 等氏がつとめ、川根本町役場や、東海ブロードバンドサービスからもサポート要員が駆けつけた。受講する子供が約20名に対して、大人のサポーターが5名ほどもいる贅沢な布陣だ。
今回のITキャンプでは、この1冊分の内容を1日半で学ぶ。手間がかかるユーザー登録などの初期設定が済んだ状態からスタートするとはいえ、初心者にとってはかなり濃い内容だ。
子供たちはPCの素養がある訳ではないので、最初はブラウザにURLを打ち込んだりするだけでもおっかなびっくり。しかしテキストの通りに操作をすれば、30分も経過した頃にはデフォルトで用意されたキャラクターが動き出し、可愛らしい音を鳴らすこともできるようになる。
可愛らしい音があちこちのPCから聞こえ始めた頃、明らかに子供たちの雰囲気が変わった。自分のプログラムでキャラクターが動き、音に合わせて動く。その楽しさに、子供たちは一気に引き込まれていったからだ。
お弁当タイムを挟み、シューティングゲームづくりへ
午前でキャラクターを読み込んだり動かしたりという基本動作を学んだ子供たちは、テキストの目的であるシューティングゲームづくりに取りかかった。自機、敵キャラ、ボスキャラ、そして弾丸が飛び回る、単純な縦スクロールシューティングゲームだ。プログラミングの中にはX座標Y座標、乱数など小学生がまだ学んでいない考え方も出てきて、わかりやすく説明するために講師も四苦八苦。ワンクリックの操作違いにより、せっかく作ったキャラクターを消してしまう子供もいたりして、講師だけではなく東海ブロードバンドサービスからサポートに来ているスタッフも休む暇なく会場を周り、操作方法のレクチャーを行っていた。
雇用創出と若者流出抑止の両輪で進める、川根本町のICTへの取り組み
川根本町の情報政策課の担当者によれば、川根本町では現在、ITを活用した雇用創出と若者の定着を図っていくつかの取り組みを進めているところであり、今回のプログラミング教室もそのひとつとのこと。「町では現在、サテライトオフィスの実証実験などを行っています。企業のサテライトオフィスを誘致し、定着してくれれば町に雇用が生まれます。その一方で、子供たちに早いうちからプログラミングなどITに興味を持ってもらい、なじんでもらうことで、将来活躍する人材を町から輩出したいと考えています。この2つが組み合わされば、大学に進学して町を出た子供が、IT企業のサテライトオフィス勤務として町に戻ってくることができます」(川根本町 担当者)
町の存続、活性化のためには、若者が戻ってきて働ける場所の確保が欠かせない。それを、サテライトオフィス誘致と子供へのプログラミング教室などの取り組みを並行して進めることで実現しようとしているのだ。
【次ページ】2日目には著作権の話も交えながら、より進んだ遊び方の紹介も
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