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- 2025/02/14 掲載
2025年の参院選はどうなる?「前原さんは許せない」国民・玉木氏が周囲に漏らした理由
連載:小倉健一の最新ビジネストレンド
国民民主 玉木氏と日本維新に鞍替えした前原氏の確執
「自民と交渉をすることについて、『政府にすり寄った』『野党分断の先棒を担いでいる』と批判をされるが、心外です。私は、今の今まで、自民党にすり寄ったことは一度もありません。ただただ、国民の生活にとって何がベストなのか。そのことだけに基づいた行動してきた」この発言は、2023年9月に行われた国民民主党の代表選挙での玉木雄一郎氏のものだ。今でも同様の発言をしているが、この発言は同代表選挙でのライバル、前原誠司氏(現、日本維新の会共同代表。当時、国民民主所属議員)からの批判を念頭に置いたものだった。
かつて前原氏は「自民党と対峙し、『非自民・反共産』の枠組みで政権交代を目指す」と主張していた。ガソリン税の負担を軽減する「トリガー条項」の凍結解除について岸田文雄首相が検討を明言したことを受け、与党が提出した予算案に玉木氏が賛成する判断をしたことを、前原氏は痛烈に批判したのだ。
玉木氏の掲げた「減税政策」についても、前原氏は「成長減税ってなんなの?と私は思います。本当にプラスになるのか。これまでも減税は効果を生んでいないのは自明のことであります」「税収が増えた分は(若者減税ではなく)教育無償化に使う」と批判を繰り返していた。
前原氏「ノーサイド」発言も日本維新の会へ
前原氏は、かねてより政権交代の必要性を訴え、小選挙区制度を活用した強い野党の形成を主張してきた。小選挙区制度では、一票でも多く獲得すれば当選できるため、対立構造が明確になり、政権交代の実現可能性が高まる。この仕組みを前提に、政権交代可能な政治体制の確立を目指してきたわけだ。一方で、玉木氏は、小選挙区での敗北を補う形で比例代表に着目し、現実的な選挙戦略を構築しようとしていた。一定の得票を確保することで、第三極としての影響力を高める方針を掲げたのである。
しかし、前原氏は代表選で敗北した後、『ノーサイドにしよう』(ラグビー用語で、試合後は対立を忘れて敵味方の区別をなくそうという意味)と発言したにも関わらず、国民民主を出ていき、日本維新の会の共同代表に就任した。
代表選が終わった直後の「ノーサイドにしよう」という前原氏の発言を信じ、むしろ周囲の前原氏の批判をなだめていた玉木氏であったが、騙し討ちのように飛び出した前原氏に対して、「絶対に、前原さんは許せない」と強い憤りを抱える事態となった。
前原氏はこれまで、政権交代の必要性を強く主張し、自公政権に対峙する姿勢を取ってきた。しかし現在、『教育無償化に関して、石破茂首相に直談判して協議を持ちかけたのは前原氏だ』(維新関係者)とされる。この動きが事実であれば、政権に対抗する立場を貫いてきた過去の発言との整合性が問われるべきだ。
前原氏は、自分が主導権を握れない立場にいる時は、政府と明確に対峙し、野党勢力の結束を求めていた。しかし、これでは自らが維新の共同代表として執行部の一員となると、政府に対して融和的な姿勢を見せるようになったと言われても仕方ないだろう。 【次ページ】強い結束力を維持している国民民主
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