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- 2016/09/07 掲載
ホテル業界の世界ランキング:星野リゾートや変なホテルはヒルトンを超えられるか
主戦場は「日本」だ!
ホテルの歴史、日本初は「築地ホテル館」
古代エジプトでは、主要街道沿いに宿屋があったという。「ホテル」の名称が初めて登場したのは18世紀末のフランスで(フランス語では「オテル」)、19世紀初頭に開業したドイツの「バーディッシュホーフ」が欧州の本格的なホテル第一号と言われている。
仏ミシュランの格付けでもご存知のとおり、海外のホテルにもさまざまなグレードがあるが、ニューヨークの「ウォルドルフ・アストリア」、パリの「オテルリッツ」、ロンドンの「クラリッジス」などは、世界各国のVIPの定宿となり、伝統と格式を誇る超一流ホテルである。
日本でも今やお馴染みになったホテルだが、西洋から導入されたのは開国した幕末になってからで、その歴史は浅い。日本初の本格的なホテルは明治元年(1868年)、江戸に建てられた「築地ホテル館」だという。
その後、外国人観光客をメーンとした日光の「日光金谷ホテル」(1873年創業)、箱根の「富士屋ホテル」(1878年創業)などが続々とオープン。1890年には、我が国のホテルを代表する東京の「帝国ホテル」が開業した。
しかし、戦前のホテルは、外国人や華族、財閥といった特権階級、富裕層に利用が限られており、一般国民にとっては近寄りがたい別天地だった。たとえば、帝国ホテルで結婚披露宴を開くことは当時、一種の社会的ステータスとされた。
ホテルの利用が一般国民に普及したのは戦後、とりわけ、高度経済成長期になってから。第1回東京オリンピック開催が契機となり、東京では「パレスホテル」が1961年、「ホテルオークラ」が1962年、「ホテルニューオータニ」が1964年に相次いでオープンした。
ホテルにはさまざまな種類がある
ひと口にホテルと言っても、多様な種類がある。我が国では主として、都市立地型のシティホテルやビジネスホテル、観光地立地型のリゾートホテル、郊外型ホテル(コミュニティホテルなど)、ターミナルホテル(空港や駅前のホテル)などに分類されることが多い。また、広義ではカプセルホテル、ラブホテルなども“ホテル”と呼ばれ、日本式の旅館の中にも“ホテル”と称しているところがある。ただし、旅館業法によれば、ホテルには、「洋式の構造、設備を持つ宿泊施設で、床面積9㎡以上の客室を10室以上備えている」といった定義がある。
そうした中で、私たちがホテルと聞いて、一般にイメージするのはシティホテルだろう。客室だけでなく、大小の宴会場、レストラン、バー、プールといったさまざまな施設を備え、結婚式のために神社や教会を併設しているところまである。
多機能・大型の総合サービス施設であり、地域における“現代の社交場”としての役割を担っていると言ってもいい。ただし、シティホテルというビジネスモデルは、宿泊以外の機能を付加していった米国のホテルの影響を強く受けながらも、日本で独自に進化したと考えられている。宿泊部門の売上げ構成比は、シティホテルでは3割前後が一般的だが、欧米のホテルでは7割前後と高い。
客室数別のホテル世界ランキング
世界各国の老舗・名門ホテルには、多店舗化を図らず、独自のサービスの“質”にこだわっているところも少なくない。しかし、ホテル業界で現在、覇権を争っているのは、客室数や売上高といった“量”も追求するグローバルなホテルチェーンである。ホテルチェーンは、単独型のホテルと違って、集客ネットワークの構築、ブランドの訴求で有利であり、蓄積したノウハウを水平展開できる強みもある。また、資材・設備の集中仕入れ、宿泊予約システムといったIT投資でもスケールメリットを生かし、経営効率化を進めやすい。資金力に物を言わせ、M&A(企業合併・買収)によって、営業拠点を一挙に拡大するチェーンも目立つ。
客室数に基づいたホテルのグローバルランキングは次のとおり。トップ10には、ホテル先進国である欧米のホテルが、当然のように並んでいる。だが、注目すべきは、中国を筆頭とする新興国のホテルも、上位に食い込んできている点だ。
世界第1位のホテルは米国のマリオット・インターナショナルである。1927年にワシントンDCで飲食業としてスタート。ホテル第1号をオープンしたのは1957年だが、M&Aをテコに急成長、現在では世界70カ国以上に3000軒以上の宿泊施設を運営している。
1998年には、世界屈指の名門ホテルであるザ・リッツ・カールトン(オテルリッツが発祥)を取得。今年4月にはスターウッドも買収した。日本でも東京、大阪にザ・リッツ・カールトンを開設して話題になり、名古屋マリオットアソシアホテルなども運営している。
【次ページ】顧客満足度別ホテルランキング
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